日本政府の共通クラウド基盤として、デジタル庁が進めている「ガバメントクラウド」。10月には「Amazon Web Services」と「Google Cloud Platform」の採択を発表し、これらを活用したマルチクラウド環境に同庁のWebサービスなどを構築・移行する方針を示した。
この発表に対し、ネット上では「なぜ国産クラウドではないのか」「日本の産業を育成する気はないのか」といった意見が続出。匿名掲示板「2ちゃんねる」の開設者・西村博之(ひろゆき)さんも「自分ならさくらインターネットやGMOなど日本の事業者のクラウドを標準にする」とABEMA TVの報道番組で発言するなど、海外のIaaSを採択したデジタル庁の判断を疑問視する声がみられた。
一方、IaaS「さくらのクラウド」を提供するさくらインターネットの田中邦裕社長は、国産IaaSが採択されなかったことについて「日本のIaaSベンダーはまだまだ。われわれが今後信頼性を高めていかなくていけないというだけの話」と話す。
話題の渦中にいる日本のIaaSベンダーは、ガバメントクラウドを巡る動向をどう受け止めているのか。田中社長に見解を聞いた。
そもそも、デジタル庁はガバメントクラウドをどのような形で活用しようとしているのか。同庁はガバメントクラウドについて、Webサービスだけでなく他省庁、地方自治体のシステム基盤としても使うことを検討中としている。
このうち、地方自治体での活用については、2025年度末までに各市町村のシステム基盤をガバメントクラウドに共通化することが決定済み。神戸市など8自治体が先行して基幹システムなどをガバメントクラウドに移行することも決まっており、これらの市町村は22年度までに移行を済ませる予定だ。
活用するクラウドサービスの選定に当たっては、21年10月に公募を実施。応募があった3社のサービスから、セキュリティや業務継続性など約350項目を満たしたAWSとGCPを選んだ。残り1社の詳細は明かしていない。
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