米IBMは11月16日(米国時間)、127量子ビットの量子コンピューティングプロセッサ「Eagle」を発表した。実用的な大規模量子コンピュータの開発に向け、ロードマップ通りの量子ビット数を達成した。さらなる大規模化に向け、次世代システムとなる「IBM Quantum System Two」の計画も明かした。
同社は2019年に27量子ビットの「Falcon」、20年に65量子ビットの「Hummingbird」を発表済み。Falconは、21年7月に川崎市で稼働を始めた商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」にも搭載されている。量子ビット数は量子コンピュータの性能指標の一つで、多いほど大規模な計算が可能となる。
一方、現状の量子コンピュータは計算時にエラーが起きた際の訂正技術に課題があるとされる。Eagleでは、量子ビット数を増やしつつ、その配列を工夫することでエラー率を下げたという。必要な部品数も減らしたとしており、これによって量子ビットを1枚の層で配線できるようになったため、今後量子ビット数の大幅な増加が可能になるとしている。
次世代システムとして発表したSystem Twoは、22年開発予定の433量子ビット「Osprey」と23年開発予定の1121量子ビット「Condor」が動作するよう設計されたもの。
同社の量子ビットは超電導で動作することから、大規模化の際にはそれだけの容積をほぼ絶対零度まで冷やせる「希釈冷凍機」が必要になる。この冷却システムはフィンランドのBlueforsとともに開発する。
System Twoは六角柱状の“モジュラータイプ”として設計されており、量子コンピュータ同士をつないでさらに大規模な量子計算が可能になることも同社は示唆している。System Twoのプロトタイプは23年に稼働予定としている。
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