「自庁式(オンプレミス)ではシステムの運用や更改に多くの人手やコストを要するが、クラウドならこれらを節約できる他、機器の故障や停電、設備点検などによるシステム停止を避け、より可用性を向上できると考えた」
もう1つは、外部からのアクセス性の改善だ。鴻巣市ではこれまで、生徒の個人情報などの漏えいを防ぐため、教員が普段教務で利用するPCは、学校外へ持ち出せないよう厳しく制限していた。
しかし教員の中には、家庭の事情などでやむなく自宅で仕事をしたり、休日出勤したりせざるを得ない者もいるという。こうした教員の負担を軽減してワークライフバランスを改善するには、リモートワーク環境の整備が不可欠だった。
学校で学ぶ生徒たちも、自宅のネットワーク環境からインターネット経由で学習システムにアクセスできれば、より学習効果が高まる。そのためにも、もともとインターネットアクセスを前提としているクラウドを活用する必要があった。
「教職員や生徒が場所を問わず、いつでもシステムにアクセスできる環境を実現したいと考えていた。そのためにはクラウドの方が自庁式より明らかに有利だった」
そこで鴻巣市は早速、クラウドベースの教育ICT基盤の提案を公募。複数のベンダーがこれに応じた中で、同市が最も要件を満たしていると判断して採用したのが、SIerの内田洋行(東京都中央区)が提案した「Microsoft Azure」を活用する案だった。
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