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鉛筆に万年筆のふりをさせる補助具が長く愛される理由 登場から14年が経過した「ミミック」分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)

» 2021年11月30日 10時04分 公開
[納富廉邦ITmedia]

未確認飛行物体風な「ミミック・メッセンジャー」

 ドロップスの成功により、不透明素材で同じ作り方をすることで、軸とキャップの間に段差が無い、いわゆる葉巻型の万年筆のようなデザインのミミックを生むことになった。それがミミック・メッセンジャーだ。アセチロイドの透明感が、まるで漆塗りの軸のような光沢で、「高級万年筆風補助軸」であるミミックの面目躍如のような仕上がり。

 「この葉巻型の形状が、ハワイで目撃されたという未確認飛行物体オウムアモアにそっくりで、調べたら、オウムアムアって遠くからのお使いという意味だったんです。英語だとメッセンジャー、ということで、そのまま名前にしました」と宇井野氏。キャップの上部を埋めるパーツには、初代ミミックである「ペンギン」の素材を使い、モンブラン万年筆の天冠に付いているホワイトスターのような、ミミックのアイコン的なデザインになっているのもヒストリカルなモデルっぽくて楽しい。

photo 五十音「ミミック・メッセンジャー」。葉巻型の未確認飛行物体的なデザインは、より古典的な万年筆に近づいたともいえる(撮影:信頼文具舗)

 「ドロップス」のポップで軽いルックス、「メッセンジャー」の重厚だけど持つと軽くて、実は鉛筆補助軸というミミックのコンセプトそのままの遊び心あふれるギャップ。対照的な2つのモデルが同じ工法だから実現したというのが、ものづくりの面白さ。

photo メッセンジャーは、宇井野氏の「キャップを斜めに切ったタイプが欲しい」というオーダーから始まったという。その斜めカットモデルが、この写真。カッコいいがネジが剥き出しになるので、製品化の段階でデザインを変更した

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