マツ でも、フラグシップを買うような人たちって、レンズ資産とかが大きいからおいそれとは動かないですよね。
山川さんももともとC国だったんでしたっけ? 陣営を変える(裏切る)のは大変な決断じゃなかったですか?
ヤマー それはありますね(笑)。大学生の時に使ってた「α700」の後はずっとC国民で、5D Mark IIとか「EOS 6D」「EOS-1D X」を使ってました。
実は、フルサイズミラーレスの様子見もしたくて、サブカメラとして「α7 II」も1DXと併用してたんです。マウントアダプター使ってキヤノンのレンズを付けて。そして、ソニーが2017年に「α7R III」を発表して一気に乗り換えた感じです。
マツ 動くときには動くと。
ヤマー やっぱ小型×高性能にひかれて。レンズは当時「EF24-70mm F2.8L II USM」と「EF16-35mm F4L IS USM」を持ってて、「EOS 5D Mark IV」まで待ってたんです。ただ、期待してた動画性能があんまりよくなかった(4K撮影で焦点距離の1.7倍にクロップされる)し、いろいろと不満に思う部分もあって。
ソニーは、CMOSセンサーで先行していて、フルサイズでいち早く裏面照射型センサーを開発し、高画素と高感度を両立していました。α7R IIIはこのセンサーを搭載し、ボディーの操作性が大幅に改善されたこと、新型バッテリーを搭載して駆動時間が大幅に増えたことなど、α7 IIを使って感じたネガティブポイントを全て潰してくれたのも大きく背中を押しました。
USB Type-Cポートで充電できるのもかなり大きかったです。4-5年前から手持ちのガジェットを全てUSB充電で完結させたい欲が強くて。USB充電できるってだけで、「Surface 3」とか「MacBook 12」とか選んでましたし。そして、当時のカメラでUSB充電できるメーカーが少なかったんですよね。5D Mark IVも非対応でしたし。その点ソニーはいち早く対応してました。
マツ なるほど、それで前回話していた今のカメラセットになったわけですね。
ヤマー そうですね。フィルムカメラにもハマっていたので、フランジバックが短いミラーレスだと、アダプターを付けてオールドレンズも楽しめますし。いろいろ遊べるのが当時ソニーだけだったのもあります。
マツ ただ、これは聞きかじりなんですが、ニコン初のフルサイズミラーレス「Z 6」「Z 7」が出たときにマウントを変えたじゃないですか。そのときに、「うちの方がフランジバック短いから良い」って書いてあったんですよね。
ヤマー 変えましたね。「不滅のFマウント」を変えてまで「Zマウント」を採用しましたね。
フランジバックは一番短いですし、どちらかと言うとマウント径の大きさの話な気がします。各社の中で一番デカいので。光学性能的にソニーよりアドバンテージがあるといわれています。
マツ ではまだまだこの分野は変わっていく可能性があるってことですね。なんだか、N国の人たちが最近元気な気がしていて。
ヤマー そうなんですよ。今まで正直キヤノンとソニーよりも後塵を拝しているイメージがあったんですが、Z 9が全てを抜き去っていきました。
ヤマー α1、R3それぞれ特色あるカメラなんですが、まさかニコンがフラグシップで新しい要素をたくさん投入するとは思わなかったので。Z 6/7の後継モデルにもZ 9のエッセンスが取り入れられてくると考えると、期待できますよね。
マツ では2022年のカメラ市場はもっと面白くなりそうですね。製品がちゃんと出れば……。
ヤマー ちゃんと出れば……。
マツ 半導体不足、部品不足もいずれは解消されるでしょうから、期待したいです。
ヤマー そう、それですよね。半導体不足。ソニーがだいぶやばいそうで……。
マツ なんか、くしの歯が抜けていくように主力製品が買えなくなっているという。
ヤマー 台数的にボリュームゾーンのAPS-Cモデルが全滅しました。「α6600」や「α6400」に加えて、発売されたばっかりの「ZV-E10」が注文受付停止。2年前に発売の「α6100」に至っては生産完了ですよ。だいぶやばいです。フルサイズだと7年選手の「α7 II」や、松尾さんが持っている「α7C」も受け付け停止に。
マツ 持っててよかった。7Cってコスパいいので人気だったはず。
数が出るものは生産できなくなったんですかね。
ヤマー そうなんです。残っているのα1、α7 III、α7 IV、α7S III、α7R III、α7R IV、α9 IIぐらいですね。
マツ みんな高くないですか?
ヤマー 単価が高いものに集中してますね。あくまでも想像上の話ですが、APS-C系で使われているパーツが手に入らないか、少ないパーツを高単価商品に集約しているのかもですね。少しでも売り上げを立てる必要がありますし、コロナ禍でもプロフェッショナルからのニーズは一定してありますから。
マツ その意味でも、フラグシップを出しておいてよかったのかもですね。
ヤマー ちなみに、キヤノンについては荻窪さんの記事内で、「20年下期以降、コロナにより徐々に足元では落ち込んでいた個人消費が想定以上に回復しました。この需要の急回復に応じた供給体制を整えようと対処してきましたが、半導体を中心とした部品確保が困難な状況となりました」と回答してるんですよね。
半導体ってさまざまなサプライヤーが複雑に入り組んでいるので、すぐに増産するってのができないんですよね。特に汎用品じゃなくて、「この会社だけが作ってる」みたいなチップもありますし。コロナ禍の混乱によるパーツ不足に一部市場での個人消費の回復が合わさって、より品薄に拍車を掛けているんでしょうね。
マツ ということは、すぐに生産回復というのもまだまだ難しいでしょうね。
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