作曲AIはすでにいくつか存在するが、21年にはソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)がメロディーを自動生成するAI搭載のiOSアプリ「Flow Machines Mobile」を公開した。曲のジャンルやコードを指定すると、それに合わせたメロディーを生成できる。
AIでメロディーを提案する作曲支援アプリ ソニーCSLが無料配信 音楽制作ソフトとも連携
データの編集や出力ができる他、外部ソフトとの連携も可能で、実際の音楽制作を意識した実用アプリといえる。
出来上がったメロディーは個人的に「ちょっと音の動きがせわしないかな?」と思うが、それを自分なりに修正することで曲の展開やメロディーを素早く案出しできるのが便利だ。
歌うAIは20年に流行し始めたジャンルだが、21年も引き続きムーブメントになっていた。テクノスピーチ(愛知県名古屋市)が開発したAI歌声合成ソフト「CeVIO AI」は楽譜を入力すれば人間らしい歌声を出力するAI。
中でもバーチャルYouTuber(VTuber)「花譜」さんをモデルにしたAIシンガー「可不」は人気を博している。
AI歌声合成は、その人間らしさが注目を集めたものの、ヤマハの歌声合成ソフト「VOCALOID」を使った作品の人気とはまだ差があった。そんな中でも比較的“VOCALOID風”な歌声を持つ可不の曲は、開発元のプロモーションの力もあり、歌い手やVTuberがこぞってカバーを出すほどの人気ぶりになった。
この他にも、音楽から振り付けを考えるAI、音楽ゲームの“譜面”を生成するAI、動画を生成するAIなどクリエイティブなAIは活躍の場を広げている。気付かないうちにそれらを見聞きしている可能性もあるかもしれない。
「AIが作ったものには暖かさを感じない」という感覚を持つ人は今でもいるだろう。それも尊重されるべき感覚だ。筆者は人間ではない何者かが創作をしているという事実そのものに芸術性を感じる。
AIの創作は今後どの方向に進むだろうか。人間に近づくか、それだけでは面白くないため人間を超えていくか……。まだまだ楽しみは尽きない。
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