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ローランド創業50年、その黎明期を振り返る シンセ、エフェクターがアナログからデジタルへ移り変わっていった時代(2/5 ページ)

» 2022年01月30日 12時47分 公開
[小寺信良ITmedia]

空間系エフェクターの登場

 同年の製品で記憶に残るのは、「SDD-320 / DIMENSION D」である。ラックマウントのエフェクターで、モードボタンが4つあるだけという、変わった製品だった。これはモノラル音源をステレオ化というか、立体化する際に使われるもので、コーラスともまた違っていた。筆者が音響工学を学ぶ学生だった1982年頃、見学に行ったスタジオ内で使われており、あれはどういう理屈なんだろうと当時の専門学校の先生に聴いてみたが、先生もご存じなかった。

photo SDD-320 / DIMENSION D

 この専門学校には、1979年発売のモジュラーシンセ「SYSTEM 100M」もあった。使われずに放置してあったので、先生に許可を取って昼休みに1人でいじって遊んでいた。

photo SYSTEM 100M

 同級生がKORGの「MS-20」を持っていていじらせてくれたのだが、あれはさっぱりわからなかった。それに比べると、SYSTEM 100Mはアナログ・シンセサイザーの原理に忠実だったので、パッチもセオリー通りにつないでいけばちゃんと音が出た。

 1978年には、世界初のデジタルシーケンサー「MC-8」が発売されている。

 まだMIDIはなく、CV/Gateというアナログインタフェースで楽器をコントロールする。YMOはファーストアルバムから使用し、またライブでも使用しているが、実際に他のミュージシャンにも広く普及したのは1981年の「MC-4」からだ。これは価格が安くなったからというよりは、鍵盤から入力できるようになったというところが大きい。

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