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時と場所を選ばない空間オーディオ制作は可能か? M1 MacとLogic ProでDolby Atmos作品を作ってみた(2/5 ページ)

» 2022年01月31日 16時18分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

Apple Silicon搭載のMacでないと荷が重い

 まず、コンテンツ制作に必要なハードウェアの環境について整理しよう。最大の特徴は、MacBook Proとヘッドフォンがあればデスクトップで本格的な空間オーディオコンテンツを作成できる点にある。

 コンテンツ制作のプラットフォームについては、可能であればApple Silicon搭載のMacBook Proを準備したい。Intel MacBook Proでも制作は可能だが、プラグインをマルチアウトで挿入するとCPUの処理が追い付かず、ブチブチブチブチとノイズが発生することがある。

 筆者の場合、macOS Big Surで動作する32GBメモリのIntel MacBook Pro 2020で、AUXトラックにリバーブプラグインを挿入しただけでノイズを確認した。リバーブプラグインは、Logic Pro純正の「Space Designer」をCPU負荷の少ないIR(インパルスレスポンス)モードで設定した。試しにプラグインを外してみるとノイズは発生しない。

photo macOS Big Surで動作する32GBメモリのIntel MacBook Pro 2020だと荷が重いようで、プラグインを挿入したらノイズが出てしまった。ファンの音も気になる

 それならばと、返す刀で32GBメモリのMacBook Pro 2021(14インチ、M1 Pro)で同じプロジェクトを再生するとまったく問題はない。2つ3つとプラグインを追加してもノイズは発生しない。実際、Logic Pro 10.7の登場時にAppleが開いたブリーフィングでは、プラグインを設定した1000トラックにも及ぶデモ音源をM1 Max搭載機でこともなげに再生していた。

 ヘッドフォンやイヤフォンは、有線、無線、機種を選ばない。空間オーディオの音源を左右2チャンネルの信号にデコードした状態でモニターすることになるからだ。ただ、ITmediaの松尾公也氏が『Logic ProのDolby Atmos対応は「空間オーディオ民主化」への第一歩 3次元空間でのランダムトレモロを体験してみないか?』で記しているようにAppleでは、リスナー向けの聴取環境としてAirPods Pro、AirPods Max、AirPods (第3世代)、または Beats Fit Proでの聴取を推奨している。

photo Apple Silicon搭載のMacBook Proであればパワーに余裕があるのでプラグインを気兼ねなく利用できる。ファンの音も皆無

 ちなみに、今回は、AirPods Proに加え、有線のbeyerdynamic DT880、SONY MDR-CD900STを換えながら試聴したが、それぞれ音像空間に大きな違いは感じなかった。手持ちのヘッドフォンやイヤフォンでも十分対応が可能だと思う。

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