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離島でTeslaは使いものになる? 一太郎の父と母、浮川夫妻に聞いてみた走るガジェット「Tesla」に乗ってます(3/4 ページ)

» 2022年02月03日 08時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

既存メーカーではTeslaのような割り切りは無理

 EVの場合、充電インフラがないと話になりません。しかし、「「エコアイランド宮古島」を宣言した同市は、電気自動車普及促進に熱心です。充電インフラも整っており、そこは心配しなかったといいます。204平方km、人口約5万5000人の宮古島市ですが、普通充電から急速充電まで16カ所の公共の充電拠点が設けられています。商業施設などプライベート設置の普通充電設備を入れるとその数はさらに増えるようです。

 「滞在先のホテルから最寄りのガソリンスタンドまでは、10km程度離れています。でも、充電ステーションであれば歩いて行ける距離にあります」(和宣社長)と話し、しかも、「ホテルのドアマンがいつも充電満タンにしておいてくれるので助かります。珍しいクルマだけにホテルの男の子たちはModel 3を楽しんでいるみたいです」(初子専務)と苦笑します。

photo 離島ではModel 3のような希少車を運転できる機会はめったにないだけに、ホテルのドアマンに頼むと喜んで充電してきてくれる

 Teslaのテクノロジーに触れた感想を聞いてみると「iPadのような大きなスクリーンでの集中的な操作は最初は戸惑いましたが、すぐに慣れてしまいました。従来の延長線上でものづくりを行っている自動車メーカーでは、あそこまで割り切ったクルマは作れないと思います」(和宣社長)とTeslaのものづくりの思想に共感を示します。

 夫妻のModel 3には、90万円近いフルセルフドライビングケイパビリティという高度な運転支援オプションがついていますが、「使えるのはオートレーンチェンジだけです。オートパーキングは動作が遅くて自分で操作した方が早い」(和宣社長)と、ちょっとがっかりした様子です。

photo 日本では機能制限されているフルセルフドライビングケイパビリティ。米国では1万2000ドル(約130万円)とより高額だが、できることは多い

 2021年11月から始まった離島でのModel 3運用ですが、本連載では今後も節目ごとに浮川夫妻のTeslaライフに着目したいと考えています。さて、話はModel 3から離れますが、取材時に出たご夫妻のテレビ出演についての余談を紹介します。

 2022年1月15日に夫妻の歴史を取材したドキュメンタリー番組でNHKのノーナレ「変かんふうふ コンピューター史に残る伝説の夫婦の物語」が放送されました。番組中、2人だけでスポットライトの下、阿波踊りをしている映像がありました。

 「創業の地が徳島ということもあり、ディレクターと阿波踊りの話になり、東京のNHKのスタジオで6時間かけて撮影しました。照明、アングル、2人の間隔などさまざまなパターンでひたすら踊ったので、クタクタに疲れてしまいました」(浮川夫妻)と仰天エピソードを語ってくれました。

 MetaMoJi創業時から夫妻には幾度も取材の機会を戴いている筆者ですが、そのたびごとに温かい人間性に触れてきました。身体を張ってNHKスタッフの演出に応えようとするご夫婦の真摯な振る舞いが想像でき、さもありなんといったところです。

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