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ビールの飲みかけ保存ができる、タイガー「真空断熱炭酸ボトル」で飲んで分かった衝撃(2/4 ページ)

» 2022年02月05日 07時51分 公開
[納富廉邦ITmedia]

キャップの「炭酸ガス抜き機構」

 バブルロジックは、大きく2つの技術で構成されている。1つは、キャップ部分の「炭酸ガス抜き機構」。これは、栓のネジ部分に溝を設けて、キャップを外す時に、炭酸ガスが先に外に排出される仕組み。この仕組みは、炭酸飲料のペットボトルのキャップなどを参考にしたのだという。

 炭酸飲料のペットボトルのキャップを外すと、確かに飲み口側のネジに切れ目が入っている。そのおかげでキャップを外す時、最初に「プシュッ」と音が出てガスが抜けて、キャップを外した時に吹きこぼれない。

 この溝は、飲み口のキャップだけでなく、ボトルのフタになっている部分のネジにも入っていて、洗浄時などの吹きこぼれ対策も取られている。

 この辺りの周到さは、長く真空断熱ボトルを作ってきたタイガー魔法瓶ならではの配慮だろう。実際に、炭酸飲料を入れて、しっかり振ってから、上下をひっくり返して戻すを3回繰り返した後で、キャップを開けてみたが、プシュッという音はするものの、全く問題なく飲めた。

photo キャップのねじ部分は、このように溝が彫られている。キャップを外す時に、ここから、炭酸ガスを抜く仕組み
photo 炭酸飲料のペットボトルの飲み口のネジにも溝が入っている。キャップ側にもスリットが用意されていて、開栓時にガスを抜く仕組み

 当たり前だが、ペットボトルの炭酸飲料も出荷時は密閉されているわけで、それが可能なら、真空断熱ボトルでも炭酸対応ができると考えても不思議はない。

 実際、炭酸対応の真空2層構造のボトルは、以前に他メーカーでも販売されていたことがあり、2021年辺りから、クラフトビールのテイクアウト用には海外製の炭酸対応真空断熱ボトルが使われていたりしている。

 この部分だけ取ってみると炭酸対応は簡単なようだが、ことはそう単純でもないから面白い。1回開けたらそれでOKのペットボトルと違い、水筒はそれでは済まないのだ。

photo フタ部分の端の方にある小さな丸いポッチが安全弁。実際に押してみると分かるが、かなりの圧力がかからないと開かないように作られている。フタのネジ部分にも溝が切られているのが分かる

 炭酸飲料がボトルの中で激しく振られたり、長時間放置された状態で、中の温度が上がったりしたときに発生する炭酸ガスによる圧力は、相当高いのだという。そこで、バブルロジックのもう1つの技術である、安全弁の働きが重要になる。ただ、ただ、安全弁が必要になるほどのシチュエーションを想定する必要があるのか、という議論は社内で行われた。

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