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スマホで3Dスキャンする新手の“データ泥棒”にワンフェス運営は警戒感 注意喚起と対策へ

» 2022年02月16日 14時16分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 スマホで展示品を3Dスキャンしていたのではないか?──2月6日に幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル」(ワンフェス)。プロ・アマ問わず腕によりをかけて製作したガレージキットの祭典で、ある入場者達の行動に出展者や運営が危機感を募らせている。

2月6日に幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル」(画像提供:ワンフェス実行委員会)

 発端は出展者の1人・44kさんのツイートだった。「ワンフェスで奇妙な画面のスマフォをかざしている三人の男性(日本語をしゃべってはいなかった)が僕らのブースに来ていたけど、あれ今分かった。デプスセンサーだ。LiDARだったんだ……」。スマホ画面にはスキャンアプリの特徴的な模様が見えたという。

 LiDAR(light detection and ranging)はレーザー光を対象物に照射し、反射して戻るまでの時間から物体までの距離を計測するセンサー。スマートフォンのカメラのオートフォーカス性能を向上させる目的で19年ごろから使われ始め、例えばiPhoneシリーズは20年発売の「iPhone 12」以降が搭載している。

 実は展示品を勝手に3Dスキャンする行為がワンフェスで注目を集めたのは初めてではない。2018年ごろにも“デジタル万引き”とネットで話題になり、メディアにも取り上げられている。

 もっとも当時は市販の3Dスキャナーが大きく、バッテリー動作するポータブル機は精度が低かったため一部で問題視されるに止まった。ワンフェス実行委員会は「来場者の撮影に過度な制限をかけると出展者の負担になる」として、当時はあえて注意喚起しなかったという。

 しかしLiDARを搭載したスマホや3Dスキャンのアプリが増えた今は状況が違う。誰でもそれなりに精度の高い3Dスキャンが行える状況になり、3Dプリンターなどと組み合わせて海賊版の製造などに用いられる可能性も否定できない。

 ワンフェス実行委員会は「現在の機器の進歩を考慮すると出展者に対する注意喚起は必要。ディーラーの皆さんが不安や不快と感じている点は看過できない」と話す。件のツイートの他にも同様の連絡が数件あったという。

 一方で「現在のスキャン精度では鑑賞には堪えるものの、そのまま3Dプリンターで出力して商品化するのは現実的ではない」とも分析している。鑑賞用のスキャンであってもかなり丁寧に、全方位からのスキャンが必要で、彩色の状況によっては光が反射や吸収されてしまい、うまくスキャンできない。またフィギュアの背面や足元の台を鏡面にしたり、作品の前にガラスやアクリルなどがあったりする場合もスキャンしにくく、こうした特性はそのままスキャン対策になるという。

 ワンフェス実行委員会は今後、注意喚起とともに出展者に対応を促す考え。「スキャン撮影を見かけたらディーラー受付か事務局に連絡するようにお願いしたい」と話している。

 次回のワンフェスは7月24日に幕張メッセの国際展示場で開催する予定だ。参加マニュアルは2月中旬に公開する。

次回ワンフェスの開催概要

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