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Elastic、AWSとの「Elasticsearch」に関する商標問題が解決したと発表 今後Elasticsearchを名乗るのはElasticのみに

» 2022年02月17日 14時07分 公開
[新野淳一ITmedia]

この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「Elastic、AWSとの「Elasticsearch」に関する商標問題が解決したと発表。今後「Elasticsearch」を名乗るのはElasticのみに」(2022年2月17日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 米Elasticは、米Amazon Web Services(AWS)との「Elasticsearch」に関する商標問題の訴訟が解決したと発表しました。

 発表によると、今後AWSおよびAWS Marketplace上でElasticsearchサービスと名乗るのは、Elasticが提供する「Elastic Cloud」のみである、とのこと。

 Elasticsearchはログ解析による運用監視やセキュリティインシデントの発見、データ分析などに使われている、この分野でもっとも人気のあるソフトウェアの1つ。

 Elastic Cloudとは、Elastic社がAWSや「Microsoft Azure」「Google Cloud」などのパブリッククラウド上でエンタープライズサーチの機能などをマネージドサービスとして提供するサービスです。

 AWSはオープンソースのElasticsearchを用いたマネージドサービス「Amazon Elasticsearch Service」(現在は「Amazon OpenSearch Service」に変更済み)を提供していましたが、今後同社が提供するサービスでElasticsearchを名乗ることはできなくなりました。

 Elasticは当初からAWSがElasticsearchの名称を用いた独自サービスを提供していたことに不満を表明していました。この決着はElasticの要求がそのまま通ったことになります。

 Elasticは発表の中で、Elasticが提供するものだけが唯一Elasticsearchを名乗るとし、AWSが提供するサービスはElasticsearchではないことを明確にしました。

 There is only one Elasticsearch, and it comes from Elastic. This means when you use Elasticsearch, whether as the Elastic Cloud service in AWS, Azure, or Google Cloud, or when you download and run Elasticsearch yourself, you can be sure that you’re getting the best possible experience because you are benefiting from 12 years of constant development and innovation from the people who created the product.

 Elaticsearchは唯一のものであり、それはElasticから提供されます。これはつまり、利用者がElastic CloudサービスをAWS、Azure、Google Cloudのどこで利用したとしても、あるいは自分でElasticsearchをダウンロードして実行する場合でも、この製品を開発した人たちの12年にわたる絶え間ない開発とイノベーションの恩恵を受け、最高のエクスペリエンスが得られると確信しています。

Elasticが名指しでAWSを非難したことが発端

 この問題は2021年にElasticがAWSを名指しで非難したことから広く知られるようになりました。

 2021年1月、ElasticのCEO Shay Banon氏はブログ「Amazon: NOT OK - why we had to change Elastic licensing」(Amazonはだめだ - なぜ私たちはElasticのライセンスを変更せざるを得なかったか)で、AWSがElasticsearchの名称を用いた「Amazon Elasticsearch Service」を提供していることはオープンソースの商標を軽視していること、さらに独自のElasticsearchの独自ディストリビューションを開発したことでコミュニティの分断まで引き起こしていると強く非難しています。

 AWSをElasticが名指しで非難。ElasticsearchとKibanaのライセンスを、AWSが勝手にマネージドサービスで提供できないように変更へ

 そして同社はAWSが勝手にElasticsearchとKibanaをマネージドサービスとして提供できないようにするため、オープンソースとして開発してきたElasticとKibanaのライセンスをそれまでのApache License 2.0から、商用サービス化を制限する「Server Side Public License」(SSPL)と「Elastic License」のデュアルライセンスへ変更します。

 この影響で、AWSはElasticsearchとKibanaをフォークして独自のディストリビューションの開発を開始。

 AWS、商用サービス化を制限するライセンス変更に対抗し「Elasticsearch」をフォーク、独自のオープンソース版へ

 Amazon Elasticsearch Serviceの名称も変更します。

 「Amazon Elasticsearch Service」の名称が「Amazon OpenSearch Service」に変更。ElasticsearchからフォークしたOpenSearchも採用

 今回の発表により、こうした一連のElasticの行動の中で少なくともElasticsearchの商標に関してはElasticの主張が認められ、決着したことになります。

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