アナログのサンプラー、古代のサンプラーなどと表現される「メロトロン」という不思議な魅力を放つ鍵盤楽器があります。メロトロンを「マネ」したiOSアプリ「マネトロン」の開発者である山崎潤一郎がメロトロン愛を炸裂させます。その行く末は……。
Mellotron(メロトロン)のアプリ化計画、つまり3代目のマネトロン開発は、牛歩ながら着実に進んでいる。実機は、自宅とは別の場所に保管しているので、いつでも好きなときに触ることができず、限られた時間をやり繰りしながらアプリの構想を練っている。
Mellotronはとにかくアナログの極みであり、触るたびに、さらに言うと鍵盤を押すたびに、音の印象が異なりさまざまな表情を見せてくれるので、ついつい至福の時間を楽しんで、アプリ開発を忘れてしまう。
というわけで、連載2回目の今回は、実機のメンテナンスやキモになる構造の様子を写真を中心に紹介する。また、アプリにまつわるMellotronの権利問題についても言及したい。
納品初日からいきなり左から14本目、G♯のテープが絡まった。当初からそうだったのか、筆者の分解作業の手順ミスによるものかは分からないが、とにかく直さなければならない。意味不明の複雑な絡まり方をしていたので、テープフレームを取り出し、テープの端を固定するエンドバーからテープ自体を外して絡みを直す。
思えば80年代、大手レコード会社のマスタリングルームでの編集作業で、夜な夜な1/4インチ(通称6ミリ)のオープンリールテープと格闘していたとき以来のユーザー体験だ。NGテイクのパートを誤ってつないでしまい、慌てて周囲に散乱した切り捨てたテープの中からOKテイクを探すといった愚かな振る舞いをしていたことが懐かしい。当時の非効率作業を振り返ると、現代の非破壊デジタル編集バンザーイと叫びたくなる。
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