ヴィンテージ鍵盤楽器のシミュレーションアプリを開発する際に注意しなければならないのは、権利の問題だ。
まず、「Mellotron」という名称は使えない。現在、商標は「Mellotron Archives」のデビッド・キーン氏とマーカス・レッチ氏が保有している。2009年に初代マネトロンをリリースする前にキーン氏にメールでロイヤリティーを支払うので商標を使いたい旨のメッセージを送信したが返事はなかった。別のルートから、キーン氏は他者に商標を一切使用させない姿勢を貫いているという、噂レベルの情報も入ってきた。
商標が使えないのであれば致し方ない。Mellotronを真似たということで、「マネトロン」という名称にした。意味としては日本語圏でしか通用しないが、「M」で始まり「tron」で終われば世界のファンは、Mellotronアプリとして認識してくれるであろうという思惑もあった。
筆者は2013年、デビッド・キーン氏からApple経由で商標に関してクレームを受けたことがある。YouTubeで公開しているマネトロンのプロモーション動画に「Manetron」という言葉とMellotronの写真を使うなというのだ。また、App Storeに表示するサブタイトルにも「Mellotron Simulator」と記述していた。
第1世代のマネトロンを公開して4年も経過した時期になぜ突然クレームを付けてくるのか不思議だった。その理由は簡単だった。メールにはMellotron Archivesで「商標を使った正当なアプリ」をリリースすると記されていた。自分達のアプリをリリースすることになり、競合の排除に打って出たわけだ。
ただ、訴えられては困るので、そこは素直に従い、文章や動画から「Manetron」という言葉を削除し、その旨をキーン氏にApple経由で伝えた。これで一件落着かと思いきや、それから約2カ月後に今度は「アプリのアイコンに楽器の画像があり、弊社の商品と相反する」と新たなクレームをつけてきた。スーパーマネトロンのアイコンには、Mellotron M400Sの姿がそのまま描かれている。これが気に入らないようだ。
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