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「サンプラーの元祖」メロトロンの構造がアナログの極みすぎる そして複雑な楽器の著作権問題について古代サンプラーがアプリになるまで(2/7 ページ)

» 2022年02月24日 13時42分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

まずはメカを掃除

 幸い、テープトラブルは無事に解決した。そこでテープヘッドとピンチ・キャプスタンローラーのクリーニング作業を実施した。35個のヘッドとローラーを綿棒に無水エタノールを染みこませ、ちまちまと拭いていく。それほど汚れていなかったので、前の持ち主、あるいはお店側でメンテナンスをしてくれていたのだろうか。

 写真をご覧いただくと、再生ヘッドの向こう側に木製の箱が見えるだろう。ここにテープがたるみながら落ちていく。アルミ板で仕切られているので絡みつくことはない(はず)。ヘッドの前後には爪型のガイドが設置されており開発者のトラブル回避の工夫と苦労が忍ばれる。

photo 35個のヘッドやその周辺を丁寧に掃除していたら時間があっという間に過ぎてしまう。手のかかる楽器だ

 クリーニングには、オーディオテクニカのカセットデッキやレコーダー用のクリーナーと綿棒を使った。薬局で購入できる無水エタノールでもOKだが、あちらはボトルが大きく分量も多い。

photo イオン交換式による高純度精製水とエチルアルコールの成分からできたクリーニング液で掃除する

 本体から外した鍵盤ユニットを裏返すとピンチローラーとフェルト製のプレッシャーパッド(四角い黒パーツ)が各鍵盤に設置されている。鍵盤を押すことで、ピンチローラーがテープをキャプスタンに押しつけテープが走行する。プレッシャーパッドは、テープをヘッドに押しつける役割を担う。

photo 鍵盤から伸びた木材の裏側にピンチローラーとプレッシャーパッドが設置されており、鍵盤を押し込む際の重さは金属板の反発力で調整する

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