ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

大胆なマウント変更で躍進 キヤノン、一眼レフの歴史荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/4 ページ)

» 2022年03月21日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

デジタル一眼レフの誕生

 フィルム一眼レフのEOSが快進撃を続ける中、徐々にデジタル一眼レフの開発も始まるわけである。

 最初は1995年の「EOS DCS 3」。ただしここから1997年の「EOS D2000/D6000」まではカメラ部分を「EOS-1N」、デジタル部分をコダックが担当という業務用モデルで、一番安くて200万円だった。知る人ぞ知るモデルだ。

 キヤノンならではのデジタル一眼レフの始まりは2000年に発売された「EOS D30」。ちなみに2006年には「EOS 30D」ってカメラも出てるのでちょっとややこしい。

 このEOS D30はキヤノンオリジナルのCMOSセンサー搭載ってのがミソだった。

EOS D30の製品発表会(2000年5月)より。独自の処理でノイズを抑えたCMOSセンサーが画期的だった
EOS D30の製品発表会(2000年5月)より。様々な特徴が紹介された

 2000年頃はまだまだCCD全盛期。CMOSセンサーは将来主流になるが、今はまだ発展途上の技術と思われていて、実際にEOS D30もノイズや発色の点で当時のCCDモデルに比べてイマイチだったという印象がある。

EOS D30で撮影した東急世田谷線。2000年9月撮影。色もくすみやすく、まだ「初代モデル」感がけっこう残っていた

 でも画質はぐんぐんと上昇し、EOS DxxからxxDと型番が変わった頃からかなり良くなった記憶がある。

2006年発売のEOS 30D。この頃からぐんぐん良くなっていった記憶がある
EOS 30Dで撮影した豪徳寺の招き猫群。2006年6月撮影。xxDシリーズは90Dまでいった

 キヤノンが先んじて取り組んでいたCMOSセンサーの時代が来たのだ。

 そして「EOS Kiss Digital」シリーズのヒットや、フルサイズセンサー機の「EOS 5D」シリーズでその地位を確立した感じだ。

2003年発売のEOS Kiss Digital。その後、エントリー向け一眼レフの定番モデルとして進化を続けた
「EOS 5D Mark II」(2008年9月。製品発表会にて)

 その後は、デュアルピクセルCMOSセンサーを搭載してライブビュー時のAFも速くなり、動画用のカメラとして使われるようになるなど、その世界を広げていったのである。

 いつだったか、NHKのとある番組に出演したとき、ロケ現場で業務用のビデオカメラとEOS 5D(Mark IIかIIIか)の両方が使われているのを見て、ああそういう時代になったんだなあと思った記憶がある。

 ちょっと厄介だったのがマウント。

 もちろんEFマウントを継承していたのだが、APS-Cサイズセンサー用にあらたにEF-Sマウントが追加され、それはフルサイズセンサーのEOSでは使えなかったのだ。フルサイズセンサーのEOSにAPS-Cサイズ用のレンズをわざわざ使うシーンはあまりないだろうけど、他社はそういう制限がないので気になったのである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.