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「初心者向け=低価格」にひそむワナ 新生活シーズンで失敗しないPC選びのコツ(3/3 ページ)

» 2022年04月08日 16時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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OSをアップグレードしながら「長く使えるか」を考えよう

 前述のスペックはどう決めたのか?

 筆者の判断基準は「ここから長く使えるかどうか」である。

 PCはスマホよりも長く使われることが多い。内閣府の消費動向調査(令和3年3月分)によると、PCの平均使用年数は6.8年とされている。買い替え理由の半数が「故障」であり、故障しなければもう少し長く使う、ということだろう。

 その間、OSは継続的にアップデートが行われる。セキュリティを考えても、OSは常に最新のものであることが望ましい。現在であれば、Windows 11がスムーズに動き、長く使えることが条件になるだろう。だとすると、Windows 10がギリギリ動いているようなPCではなく、「今の段階でも快適なPC」であるべきだ。

 いわゆる「GIGAスクール構想」で児童・生徒に配られているPCのスペックも、ここで挙げたスペックよりかなり低い。あのプロジェクトではどうしても「価格重視」になってしまい、長く使える・快適であるという視点に欠ける部分はある。だが、「PCやネット端末が与えられない」よりは、与えられることの方がはるかに良い。iPadやChromebookが選ばれるのも、ネット端末としてのコスパの良さに注目して選択されている部分がある。だから、「GIGAスクール向け低スペックPC」を仕事用に買うのはやめておいた方がいい。

GIGAスクール向けPCの一例。メモリは4GB、ストレージは64GB(eMMC)と、Windows 10を動かすのもやっとなスペックといえる

 PCは新品である必要はなく、中古PCを選んでも良い。だがその場合、価格と性能のバランスは吟味する必要がある。「5年前に10万円だったPC」を中古で安く買っても、5年後に快適に使えるかは疑問だ。選ぶなら、「発売3年以内で性能が高めのものを、より安く買う」という考え方がいい。また、時々、企業などでのリース流れで生まれた安価な中古PCを売る広告があるが、スペックの面と対応年数の面でおすすめしない。

 実のところ、中古の方がPC選びは難しい。PCに詳しくないなら、予算をちょっと足して新品を選んだ方が無難である。

「Office」は付属かサブスクか

 これらの条件を満たすと、PCの価格としては5万円から10万円の間、というところになると思う。

 店頭販売製品の場合、日本では、ほとんどのWindows PCに「Microsoft Office Personal」もしくは「同 Office Home & Business」が付属している。そのため、ライセンス価格の分、PCの販売価格も上がっているのが実情だ。

 PCを買う人はオフィス・パッケージも必要としている人がほとんどなので、セット販売そのものは理に適っている部分がある。ただ、PCを買い替えた時にはそのライセンスが使いまわせない、という難点もある。各PCメーカーのオンライン直販で「Office」なしを選び、Microsoftのサブスクリプションサービスである「Microsoft 365 Personal」を契約する、というやり方もあるだろう。この場合、年間で1万2984円の支払いで、5台までのPCで利用が可能になる。

 ソフトウェアのコストを「PC購入時にまとめて払う」のか、「サブスクリプションとして払い続けることで初期費用を抑える」のか。そうした部分も勘案すると、出費の考え方も変わっていくだろう。

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