ユーザーの変化はもう一つある。SaaSの購入経路だ。G2が米国内の1000社強の企業に対してSaaSの導入プロセスについてヒアリングしたところ、以下のような結果が出たという。
「ソフトウェアのユーザー企業のうち、ベンダーから直接購入(オンラインでの購入を含む)したいユーザーは70%、サードパーティーのマーケットプレースから購入したいユーザーは22%、リセラーから購入したいユーザーは8%という結果になった。米国内で顕著な傾向として、サードパーティーのマーケットプレース経由でソフトウェアを購入したいと考えるユーザーが増えている。5年前はこうしたWebサイトを通じてソフトウェアを買う人はかなりの少数派だった」
サードパーティーのマーケットプレースとは、「AWS Marketplace」や「Microsoft AppSource」「Microsoft Azure Marketplace」「Salesforce App Exchange」などを想定した分類だ。大手クラウドベンダーなどが、自社のプラットフォーム上で稼働しているパートナーベンダーの製品・ソリューションや、自社サービスと連携しやすい他社製品を販売する場を指す。
アベルCEOは調査結果について「スマートフォンでアプリを購入するのと似たようなもので、同じトレンドがB2Bでも起こりつつある」とコメント。法人向けIT製品のコンシューマライゼーション(消費者向け製品の手法が企業向け製品にも影響すること)の一環だと指摘した。
SaaSの購入経路の変化には、ユーザー企業の意思決定が早くなってきていることが影響しているという。「ユーザーの54%が、2万ドル以上するソフトウェアの購入を3カ月以内に決断するようになった。20年前なら1年はかかっていた」(アベルCEO)。
ユーザー企業側の変化は、SaaSベンダー側のビジネス戦略にも大きく影響している。アベルCEOによれば、製品選定時の情報源として有力になりつつあるレビューサイトのコンテンツやユーザーの行動データなどをマーケティングに生かしたり、自社の直販サイトやサードパーティーのマーケットプレースと連携させたりするSaaSベンダーが目立ってきているという。
カンファレンスでは日本市場の動向にも言及した。「日本ではまだまだリセラー経由のSaaS購入が多いとみている。米国市場でもVAR(付加価値リセラー)の存在感は小さくないが、徐々に衰退し始めている。この変化はやがて日本にも訪れ、数年以内には今日紹介した全てのトレンドが日本でも浸透するだろう」(アベルCEO)
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