もう一つ直面した問題が、テレワーク用の作業環境だ。筆者は東京の賃貸で、ある程度手間を掛けて自宅の作業環境を構築していた。例えばスイッチャーを活用し、会社用PCとプライベートPC間で同じモニターやキーボードを使えるようにしたり、モニターアームを使ってマルチディスプレイで作業できるようにしたりしていた。
しかしテレワーク移住に当たってはこれを一度解体し、組み直す必要がある。ただ机をばらしたり配線をつなぎ直したりするだけならいいが、そうもいかない。部屋の色味が違えば机を買い換えたくなるし、そうすると機材の位置や必要なコードの長さも変わる。コンセントの位置が変わったので、延長コードや電源タップを買い足す必要もあった。
そうすると配線が複雑になっていき、せっかくの新居なのにコードで足元が汚く見えてしまう。以前は足元に収納ボックスを入れて隠していたが、部屋が広いとごまかし切れない。仕方がないので机にひっかけられるカゴや結束バンドを使ってコードをまとめて──などと対応していると、思った以上に手間を取られた。
コードについてはもう一つ手間のかかることがあった。光回線の配線だ。筆者はPCでゲームをするのが好きなので、どうしても有線でPCとルーターをつなぎたかった。しかし新居はファミリー向けの2DK。ダイニングキッチンにしか光コンセントがない。
さすがにダイニングキッチンにデスクは置きたくないので、作業部屋は別の部屋にした。しかし、そうなると光コンセントとPCが遠くなり、有線接続の難易度は上がる。仕方がないので、取りあえず手元にあった長めのLANケーブルを使ってPCとルーターを強引に接続した。扉の下にケーブルを通せる隙間があったのでどうにか実現できたが、代わりに少し見栄えが悪くなった。
悩み事はもう一つある。部屋が増えたので、これまで居室にまとめていた家具を他の場所に移したところ、作業スペースを広くすることができた。一方で、物が減ったからか、Web会議時に自分の声が部屋に響くようになってしまった。会議中恥ずかしいので対策したいが、まだ着手できていない。
とはいえ、引っ越し自体はおおむね満足だ。ほぼ地元なので両親の家が近く、すぐに訪ねられるし、前の部屋より広いので友達と家で遊びやすい。何より隣人に安眠を妨害されることがなくなった。毎朝歌詞の朗読で目覚めるのはつらかった。本当によかった。
考えなしに「テレワーク移住しよう!」と思うと筆者のように苦労するが、時期を新生活シーズンと重なる3〜4月からズラしたり、部屋探しの時点から作業環境の構築を考慮しておくと、もっと楽に引っ越しができるかもしれない。
ITmedia NEWSでは他にも、埼玉県在住の谷井記者がテレワーク移住したときのレポートも掲載している。筆者より順調な引っ越しだったようなので、成功例が見たい人はどうぞ。
参考記事:もう出社しないので東京から埼玉に引っ越してみた “テレワーク移住”はアリかナシか 部屋探し編
出社しないつもりで“テレワーク移住”した筆者、突然の現地取材と出社を経験
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