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食べ物の味と見た目を変える装置、明大が開発 「牛乳→カニクリームコロッケ」などに変身 「エリンギ→毒キノコ」も

» 2022年07月11日 19時34分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 明治大学は7月8日、食べ物の味と見た目を変える装置「TTTV2」を開発したと発表した。甘味や酸味、塩味、苦味、うま味などの基本五味や辛味などを感じさせる液体を混ぜ、食べ物に噴霧することで、その味を変えるという。研究チームでは牛乳をカニクリームコロッケの味に変えることに成功したとしている。

食べ物の味と見た目を変える装置「TTTV2」

 装置ではまず、元の飲食物(A)と、目標の飲食物(B)の味の差(B-A)を味覚センサーで算出する。この差を埋める味溶液を作り、Aに混合噴霧することでBに味を近づける仕組み。食べ物の見た目も、食べられるインク「可食インク」で印刷することで目標の飲食物に近づけるという。

 牛乳の味をカニクリームコロッケに変える際は、カニクリームコロッケを粉砕し、その味を測定。牛乳の味との差を埋める味溶液を作り、牛乳に混合噴霧した。この牛乳は味と見た目以外にも、魚介類・甲殻類の香りを再現しているという。また、アレルゲン物質を含まないため甲殻アレルギーの人でも食べることができるとしている。

牛乳をカニクリームコロッケの味と見た目に変える様子

 TTTV2では他にも、白おにぎりを梅干しおにぎりに変えることや、白米をちらしずしに変えること、極端な例ではエリンギを毒キノコ(ベニテングダケ)と同じ味と見た目にして安全に味わうことも可能。今後は、家庭料理をプロの味付けにすることなどができるよう、家庭の台所に設置される「調味家電」として社会実装を目指す。

ちらし寿司の見た目と味に変えた白米
ベニテングダケの見た目と味に変えたエリンギ

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