ITmedia NEWS >

日本のテレビ放送とIP、「思てたんと違う」普及の形 嫌がっていたクラウド化に転進した事情小寺信良のIT大作戦(1/4 ページ)

» 2022年07月22日 16時47分 公開
[小寺信良ITmedia]

 7月21日と22日の2日間、福岡県福岡市博多区にある福岡国際センターにて、九州最大の放送機器展である九州放送機器展、通称QBEE 2022が開催された。

photo 福岡国際センターで開催されたQBEE2022

 筆者はこれまで、千葉幕張メッセで開催されるInter BEEには数え切れないぐらい取材に行ったが、地方向けに行なわれる展示会には行ったことがなかった。QBEEは比較的小規模な展示会ゆえに、出展者と来場者との距離も近い。今回は最新機器の話というよりも、現場の本音のような話を聴く機会が多かった。

photo 規模は幕張メッセ1ホール分ぐらい

 昨今は行政でもDX化が叫ばれるようになって来ているが、これは言うまでもなく、コロナ禍が原因でスタートした動きだ。一方放送業界ではコロナ禍のずっと前、それこそ4K放送が始まる前の2014年前後から、これからの映像伝送はIPだということで、鼻息荒く開発が進められてきた。

 放送用の非圧縮映像は、従来HD解像度まではHD-SDIという規格を使ってメタルケーブル1本で伝送してきた。ところが4Kになると、これを4本束ねることになる。単純に端子の数とケーブル量が4倍に増えるわけである。それだと重すぎ、取り回しが悪すぎということで、IP化して光ファイバー1本で伝送しよう、という気運が盛り上がった。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.