米Alphabet傘下のGoogleの研究部門Google ResearchとEveryday Robotsは8月16日(現地時間)、高度な言語モデルとロボット学習によって「モラベックのパラドックス」を解決するための共同研究「PaLM-SayCan」を発表した。
Everyday RobotsがGoogleのキャンパスで稼働させているヘルパーロボットで実行する学習モデルにPaLM(Pathways Language Model)を採用することで、ロボットの性能を強化し、より複雑で抽象的なタスクを実行させるための研究だ。
モラベックのパラドックスとは、AIやロボット工学では、高度な知性に基づく推論よりも人間の本能に基づく運動スキルや知覚を覚えさせることの方が困難だという説だ。
Everyday Robotsのロボットたちは、「ペットボトルの水を持ってきて」というような単純な命令は理解し、実行するが、「飲み物をこぼしてしまった。助けてくれる?」「疲れちゃった。元気の出るスナックを持ってきてくれる?」などという命令はロボットにとっては難しい。
例えば「飲み物をこぼしてしまった。助けてくれる?」に対し、「GPT-3」は「掃除機を使ってみてください」と答え、「FLAN」は「申し訳ありません。こぼすつもりはありませんでした」と謝罪するという。PaLM-SayCanでは、ロボットはユーザーがこぼした飲み物をきれいにするために何かを持ってくるように言われたと解釈し、スポンジを持っていこうと決める。
大まかな流れは、PaLMが言語理解に基づいてタスクへの複数のアプローチを提案し、ロボットも実現可能なスキルセットに基づいて複数のアプローチを提案する。統合されたシステムは2つの提案を相互参照し、ロボットにとってより有用で達成可能なアプローチを特定する。
Googleによると、PaLM-SayCanのロボットは、101件の命令に対して84%の確率で正しい対応を計画し、74%の確率で実行できたという。
「われわれはこの進歩に興奮している。(中略)われわれの実験では抽象的な自然言語の命令をロボットが高い成功率で完了する能力が実証された。PaLM-SayCanの解釈可能性により、ユーザーとロボットとの安全な対話が可能になると信じている」とGoogleは語る。ロボットシミュレー本のセットアップなどのリソースはGitHubとWebサイトで公開されている。
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