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尾行を検知するラズパイ自作装置 周囲のスマホをスキャン、20分間検出され続けると警告Innovative Tech

» 2022年08月24日 07時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 情報セキュリティの会社Argelius Labsを創設したMatt Edmondson氏(21年間、アメリカ合衆国国土安全保障省に勤務している)が発表した「Chasing Your Tail With a Raspberry Pi」は、尾行されているかを検知できる安価で持ち運びが可能な手作りデバイスだ。このデバイスは周囲のスマートフォン(無線信号)をスキャンして同じものを見つけ続けると、アラートで警告してくれる。

 手持ちの防水ケースに収納されたこのデバイスは、Raspberry Pi、ワイヤレス信号検出器、バッテリーパックで構成。Raspberry Pi 3がソフトウェアを実行し、Wi-Fiカードが近くのデバイスを探し、小さな防水ケースがデバイスを保護し、ポータブル充電器がシステムに電力を供給する。合計200米ドルほどで作れる。

 防水ケースに全て収納されているため、手で持ち運べ歩行による尾行検知ができる他、車に乗せて車の尾行検知にも活用できる。

防水ケースに全てのコンポーネントが収納された今回のデバイス

 この自家製システムは、ワイヤレスネットワーク検出のKismetを実行し、Wi-FiまたはBluetooth接続を探している周囲のスマートフォンやタブレットをスキャンし検出する。その結果をSQLiteデータベースに記録する。

 今回の手法は、スマートフォンが周囲のワイヤレスネットワークを常に探しているという点を利用している。

 このように周囲のワイヤレスデバイスをスキャンしログをチェックして、過去20分間にワイヤレスデバイスが存在したかどうかを確認する。オフィスやコーヒーショップなどに座って長時間滞在していると誤った測定値を多数取得するため、システムは人が移動中に使用するように設計されている。

 課題も述べられており、MACアドレスのランダム化への対応や、検出されたデバイスを無視リストに追加できるシステムを組み込みたいという。さらに、GPSの機能を追加し、尾行者が最初に現れた場所を確認できるようにしたいという。

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