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Twitter内部告発者のザトコ氏、上院公聴会で証言 「経営陣は規制当局をだました」

» 2022年09月14日 08時46分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Twitterを1月に退社し、8月に同社の問題について内部告発した元セキュリティ責任者で伝説的なハッカーとして知られるピーター・“マッジ”・ザトコ氏は9月13日(現地時間)、米上院司法委員会の公聴会「Data Security at Risk: Testimony from a Twitter Whistleblower」(危険にさらされているデータセキュリティ:Twitter内部告発者の証言)で、約2時間にわたって証言した。

 mudge 1 公聴会で宣誓するピーター・“マッジ”・ザトコ氏

 ザトコ氏は宣誓証言(PDF)で、Twitterが外国の諜報機関によって複数回侵入されていたことを示唆し、同社従業員が外部からの要求で職場のPCにスパイウェアを何度もインストールしていたと非難した。

 今回の証言では、米連邦捜査局(FBI)がTwitterに、従業員に中国のスパイが潜入していると通告したことや、システムの開発環境にステージング環境がなかったこと(これは奇妙で例外的だと説明)、従業員のログ記録がないことで従業員の不正を追跡できない状態だったことなど、様々な問題について証言した。「単に、外国諜報機関のスパイを探し出し、自力で追放する基本的な能力を欠いていた」とザトコ氏。

 mudge 2 議員の質問に答えるザトコ氏

 また、従業員が簡単にデータとシステムにアクセスできることから、「みなさん(公聴会に出席している上院議員)全員のアカウントを乗っ取れると言っても過言ではない」と語った。

 アカウントを削除したユーザーのデータを確実に削除していないことも指摘した。ザトコ氏は、Twitterの最高プライバシー責任者が、Twitterのデータ削除慣行について尋ねた規制当局を故意に誤解させたことを認めたとも語った。

 ザトコ氏は、「内部告発したのはTwitterに損害を与えるためではない。同社の使命を信じており、その成功を応援している。だが、その成功は、ユーザーのプライバシーとセキュリティが守られてこそ実現できる」とも語った。

 リンゼイ・グラハム議員(南カリフォルニア選出・共和党)が(イーロン・マスク氏によるTwitter買収問題を踏まえて)内情を知った上でTwitterを買収しようと思うかと尋ねると、ザトコ氏は初めて笑い、「価格によると思う」と答えた。

 mudge 3

 マスク氏はこの公聴会のライブ配信中、自身のTwitterアカウントでポップコーンの絵文字を投稿した。


 マスク氏はTwitterのプロフィールや表示名を比較的頻繁に変える。現在は画像は子どものころのものに、名前はNaughtius Maximus(モンティ・パイソンの作品に登場するローマ人的なギャグ名)にしている。

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