「当初目指していたような感染の抑止効果は発揮出なかったと思います」――新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の開発にボランティアとして関わった児玉哲彦(こだま・あきひこ)さんが9月13日、COCOA停止の報道を受け、Twitterで思いを吐露した。
少人数で開発したOSSを政府が採用するという前例のない取り組みの中で、「開発者としてできたこと、できなかったことがある」と明かしながら、政府に対して、適切な検証を求めている。
COCOAは、民間のエンジニア団体「COVID-19 Rader JAPAN」のボランティアがオープンソースソフト(OSS)で開発。児玉さんはUXデザイナーとして参加した。それを厚生労働省が採用する形で2020年6月、政府公認アプリとしてリリースされた。
国民が大規模に利用するシステムを少人数のオープンソースで開発し、政府が採用して巨大プラットフォーム(iOS/Android)に展開するという初めてづくしの試みだからこそ、「できたことできなかったことをきちんと検証し、今後に活かしていくことが何より重要」と児玉さんは述べる。
前例のない取り組みに対して、「これまでの(政府の)システム発注の枠組みの中でうまく運用する体制が確立できなかった」と児玉さんは指摘する。
特に難しかったのは「厚労省の管轄となったタイミング」だったという。その時点で開発・運営は企業に引き継がれ、児玉さんをはじめとしたオリジナルの開発者が関与できなくなってしまった。
「今から考えれば、レポジトリへのコミットなどを通じてもう少しうまく継続的な貢献をする方法もあったかもしれない」と児玉さんは悔やむ。
運用面では、陽性登録率が2%程度と低かったことが「大きな問題」と指摘。「例えば保健所などで、陽性が確認された際に、COCOAでの陽性登録を義務付けるようになっていれば、有効性がかなり変わっていた」と見る。
政府に対ししては、「できたことできなかったことをきちんと検証し、今後に活かしていくことが何より重要」とし、課題の整理や検証を求めている。
児玉さんは「感染の抑止効果は発揮出なかった」と結論付けているが、フォロワーからは、「COCOAを感染防止に役立てていました」「メリットを感じていました」「素晴らしいアプリを開発してくださりありがとうござじます」といった感謝の声が多数届いている。
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