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「FigmaはAdobeに統合される?」 Figma CEOに直撃、2.9兆円の買収提案に乗ったワケ(3/3 ページ)

» 2022年10月11日 11時00分 公開
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日本のFigmaコミュニティーに感謝

――Figmaが顧客基盤の拡大を特徴とするためには、企業顧客拡大が重要です。グローバルではどのような努力が必要になりますか?

フィールド 企業向けの認知度を高めるために、もっと努力する必要があると思います。私たちは、優れた企業向けソリューションを何年も前から構築してきました。そして、お客さまと一緒になって、企業向けソリューションのあるべき姿を定義するお手伝いをしてきました。

 とはいえ、多くの企業は、「ちょっと待て、Figmaは小さな会社だ、まだ準備ができていないのでは」と思っているようです。ですから、私たちは、企業向けの準備体制について、もっと情報を発信していかなければならないと思います。

 その意味でも先日、日本で大いに勇気付けられました。コミュニティーのイベントには400人近くが参加してくれたのです。本当に、本当に楽しかったです。

――そのことは、日本市場にとっても非常に重要ですね

フィールド Figmaの日本語版を発表したばかりですからね。しかも、コロナ禍の中で、です。コロナの影響で、イベントにお客さんは来ないんじゃないかと心配していたんですが、とにかく来てくれました。

7月の日本語版提供の際に来日したFigma経営陣

 もう1つ重要だったことは、日本の企業のお客さまと多くの時間を共有できたことです。本当に、本当に大きなブランドです。彼らは、Figmaにとても興奮し、Figmaがどのようにデジタルトランスフォーメーションに役立つかについて、とても興味を持っていました。

――なるほど。今後、エンタープライズ市場拡大について、Adobeと協業する予定はあるのでしょうか?

フィールド Adobeは世界中のさまざまな顧客、特に最も重要な企業顧客と素晴らしく深い関係を持っているので、Figmaの配信を加速させることができると確信しています。

 とはいえ、私たちはもう自分たちの道を歩んでいると思います。

――なるほど。もう1つお聞きしたいのですが、Figmaを企業向けに展開する上で重要なことは何でしょうか? また、現時点で維持すべきキーテクノロジー、キーポイントは何でしょうか?

フィールド Figmaのキーポイントは、パフォーマンスだと思います。これはある意味、最低限必要なものです。

 ただ、Figmaを本当に速く作るのは、技術的には非常に複雑なことです。また、Figmaを高速化すればするほど、ファイルはより複雑になります。つまり、Figmaの性能を向上させるチームとユーザーとの間で、かつてないほどの競争を繰り広げることになるわけですね。

 もう1つは、このプラットフォームのユーザーの約3分の1が開発者だということです。Figmaの中で開発者としての体験をより良いものにしたいのです。そのためにできることはたくさんあると思っています。

 2023年の第1四半期後半から第2四半期にかけて、私たちから多くのことを発信していくつもりですが、どうすれば開発者がFigmaで本当に幸せになれるのか? それが、今、私たちが取り組んでいる大きな取り組みです。

――アメリカ以外の市場に対するアプローチ、特に日本市場へのコミットについて、現時点で変更はありますか?

フィールド 米国以外の地域への投資は続けています。80%以上、正確には、週間アクティブユーザーの81%、収益の半分以上が米国外です。そして、私たちのビジネスの成長を考えるとき、米国内だけでなく、海外にもチャンスがあると考えています。ヨーロッパはもちろん、日本にも大きなプレゼンスを確立しています。また、東南アジアでは、より多くの事業を展開したいと考えています。

 ビジネスとして、よりグローバルになることに興奮しています。私たちは、長い間、ユーザーへの訪問に多くの時間を費やしてきました。ご存じのように、日本は私たちが最初にローカライズした国です。日本語で製品が動作するようにチームが取り組んでくれた全てのハードワークに非常に感謝しています。

 さらに、私たちはこのローカライズを他の国でも実現したいと考えています。

Adobeとの交渉は「建設的に」

――少し個人的な話も聞かせてください。Adobeのような巨大な企業と交渉した経験はいかがでしたか?

フィールド 正直なところ、本当に建設的に進みましたよ。

 おそらくどのような規模のM&A案件でも、多くの弁護士がいることは確かですが、この経験を通して「私は弁護士の仕事には向いていない」と分かりましたよ(笑)。弁護士に対しては、以前よりもずっと尊敬の念を抱くようになりました。文章を書くのが技術であるのと同じように、考えることも技術なのです。

 結局のところ、この取引に関する私の考え方は、ここで「作品を作ろう」ということだったのだと思います。どちらが勝つか、ということではなく、一緒に仕事ができるようになるにはどうするのか? ということです。結果的に、「そうか、じゃあ、一緒にやろう」ということになりましたが。

 現実を目の当たりにして学ぶのは良いことです。私は彼らにとても感銘を受けました。

――では、日本のユーザーに向けて、コメントをいただけますでしょうか?

フィールド 応援ありがとうございます。それが一番大きいですね。私たちをサポートしてくれている皆さんに対して、本当に心から感謝しています。

 どうしたらもっと良くなるか、オープンマインドでいたいと思っておりますので、引き続き私たちにご意見をお寄せください。

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