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芸術の秋に音楽で遊ぼう! 太鼓を鳴らすサルから、シンセサイザーの原理までWebブラウザで楽しめる「Chrome Music Lab」遊んで学べる「Experiments with Google」(第23回)(2/2 ページ)

» 2022年10月22日 08時00分 公開
[佐藤信彦ITmedia]
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音楽レコードを再現 録音データを円盤状に記録する「VOICE SPINNER」

 3つ目に紹介するは、短い音声を録音して再生速度を自由に変えたり、逆再生したりできる「VOICE SPINNER」(ボイススピナー)だ。中央のボタンを押すと、PCやスマートフォン内蔵のマイクで音を録音できる。

 録音した音のデータを円盤状に記録しているが、これは音楽レコードのプレーヤーと同じ仕組みを再現したものだ。録音データを円形に配置するデザインで、レコードと同じく音の波形を記録する見た目にしている。音声を再生するには、画面下のスライダーを右または左へ移動させる。右へ動かすと録音を再生でき、中央から遠ざかるほど再生速度が速くなる。

photo 音の振動データが円形に配置された、レコード盤と似たような構造

 ちょうど良い速度で円盤を回転させないと、再生される音程が高すぎたり低すぎたりしてしまう。動画を10倍速再生したら声の高さが変わるのと一緒だ。伝わる人には伝わると思うが、間違った回転速度でレコードを再生した時に似ている。ここから、振動の速度と音程に関係があることや、レコードの原理を直感的に理解できる。

 スライダーを左へ動かすと、回転方向が逆になる。その結果、音の再生方向も逆転するので、歌を録音している場合は歌詞が聞き取れなくなってしまった。例えば逆再生して元の音や声がどんなだったか当てる、というゲームで遊べそうだ。

レコードの仕組みを再現している

かわいいキャラで、シンセサイザーの原理が分かる「OSCILLATORS」

 最後は、アナログシンセサイザーの原理を学べるWebアプリ「OSCILLATORS」だ。

 シンセサイザーは、オシレーター(発振器)と呼ばれる電気回路で、周期的に変化する信号=つまり「波」を作り出して、それ別の回路で加工する楽器である。最終的に、加工したものをスピーカーで出力することで音になる。

 波の種類は波の形で分けられる。基本的な波形は「矩形波」(長方形の波)や「ノコギリ波」「三角波」「正弦波」で、それぞれ独特の音色を持つ。出したい音に応じて波形を選んで加工するというわけだ。音の高さは、波の周波数で調整する。

 OSCILLATORSでは、基本的な4つの波形をかわいらしいキャラクターにしている。

photo OSCILLATORSで試せる基本的な4つの波形

 OSCILLATORSを使えば、これら4種類の波形がどのような音色なのか体験できる。周波数も変えられるので、高くしたり低くしたりして確かめてみよう。シンセサイザーはどんな音でも鳴らせるように思えるが、こうした単純な波形がベースになっていると分かる。

波の形が変わると、音色も変わる

Webブラウザで簡単に使える音楽コンテンツ ソースコードも公開

 Chrome Music Labは、体験しながら音楽の基礎を学ぶために作られたコンテンツだ。Webブラウザ「Chrome」上で動かすことを想定しており、専用のアプリや特殊な機材はいらないので誰でも簡単に使える。

 今回紹介した4つ以外にも、曲を打ち込んで演奏できる「SONG MAKER」や、離れた人と最大10人でリモート連弾できる「SHARED PIANO」など、楽しそうなアプリが多い。多彩な音楽関係のコンテンツを利用できるので、その手軽さから学校の教材として使われることもあるそうだ。

 しかも、どのコンテンツも無料で自由に利用できるツールを組み合わせて作っている。そのソースコードはGitHubで公開している。これらを改造して発展させてもいいし、新しいアプリを作る際の参考にしてもいい。

 また、Chrome Music Labにはアプリが随時追加されていくとのことなので、時々確認するといいかもしれない。芸術の秋に、家族と音楽を楽しんだり、新しい音楽コンテンツを開発したりするのもいいだろう。

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