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「トレンド操作」トレンド入り 大量解雇でTwitterはどう変わる? ITmedia NEWS編集部で考えてみた(1/3 ページ)

» 2022年11月07日 20時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 11月7日、日本のTwitterトレンドに「トレンド操作」が入った。イーロン・マスク氏が4日(現地時間)、米Twitterの人員削減に着手し、日本法人(Twitter Japan、以下TwitterJPと表記)の社員も解雇した結果、政治的な話題がサジェストされにくくなった──という声が発端とみられる。

 同じく解雇の影響か、5日から6日にかけては「ニュース」欄の更新が一時的にストップしていた。これによりTwitterJPがTwitter上の話題を操作していたとする意見が増えたこともあり、「トレンド操作」のトレンド入りにつながったようだ。

 一方で、マスク氏は長文の添付機能やなりすましアカウントの排除など、Twitterの今後に関わる方針を続々発表している。メディアを中心とした世論形成の場とも化しているTwitterは、今後どう変わるのか。ITmedia NEWS編集部でも議論したところ、さまざまな意見が出たので、考え方の一例としてまとめてみた。

 メンバーは6人。ITmedia NEWS編集部の編集長キーチ、消費者向けコーナー「くらテク」を受け持つセリザワ、幾つものテック系編集部を渡り歩いてきたヤマー、Web・雑誌双方での編集経験を持つサイトウ、AI音声合成技術を使った楽曲制作などが趣味のタニイ、ギリギリ“Z世代”の若手記者ヨシカワで話し合った。

ユーザーへの説明不足? TwitterJPに落ち度はあるのか 

ヨシカワ 先週からTwitterが大変なことになっていますね。7日は「トレンド操作」なんてワードがトレンド入りしました。解雇されたTwitter日本法人の社員がトレンドを操作していたのではないか、という話題のようですが。

タニイ もしかするとですけど「トレンド欄」と「ニュース欄」を混同してる人が多いのでは?

11月7日のトレンド欄(左)、ニュース欄(右)

ヨシカワ トレンド欄は話題になってることをアルゴリズムでピックアップする枠ですよね。一方でニュース欄はTwitter日本法人の人がメディアの記事を選んで載せる枠、だったかな。

 このニュース欄に出てくる記事が変わったことを、トレンド欄での出来事だと混同している人が多いのかもしれない、と。

キーチ これ、混同しやすい見せ方にしていたTwitterに非があると思うんですよね。本来、トレンド欄に入ってくるのはアルゴリズムでやったものだけ、ニュース欄はキュレーションだけという見せ方をしていればよかったはずで。

 ニュース欄は中立的なアルゴリズムによる選出ではないと見せ方にできなかったのが、ボタンの掛け違いの原因だと感じています。

タニイ Twitterのニュース欄にTwitterの編集部的な組織が選んだ記事が載っているのは不自然な話じゃないですよね。例えばYahoo!ニュースだって同じことをしていますし。問題は、それがあたかも世論に見える可能性がある見せ方をしていた、というところだと思います。

ヤマー ニュース欄に結構人の手が入っていると認識していなかった人も多いんじゃないかと。だから衝撃が大きかった。みんな「SNSだからアルゴリズムなのだろう」「AIなのだろう」と思っていて、Twitter側からもあまり情報が出ていなかった。

 でも実は、ニュース欄については人の手でやっていたので、“意外感”が大きかったのではないかと思います。キュレーションの取り組み自体はYahoo!ニュースやLINE NEWSといったプラットフォームでもやっているんですけど、SNSでも一緒だと思っていなかったのかも。

 あとは、「トレンド」欄とは別に、ユーザーの傾向からパーソナライズされる「おすすめ」欄や「今何してる?」欄があるのも紛らわしいですよね。トレンドはランキング形式ですけど、後者の2つはユーザーによって表示される内容が異なる。

photo 7日の「おすすめ」欄

ヨシカワ トレンド欄自体はランキングですが、それぞれの話題にひもづいた記事は手動で選定していたのも混乱の要因ですね。これは開示された情報ですが。

タニイ UI・UXの話題ですね。

セリザワ ニュース欄についてはちょっと事情が違うかもしれません。ニュースは2015年に日本発で実装されたんですが、当時はYahoo!ニュースとの差別化を図るためか、ニュースの選択は「ユーザーのアクション(ツイート、リツート、お気に入り)によってニュースの一覧が作成されることにある」としていました。つまり人の意思が介在しないことをある意味で売りにしていたんですよね。

ヨシカワ あれ、話が違う……。

キーチ ただ、当時のニュース欄と今のニュース欄は明らかに別の機能なんですよね。当時はアルゴリズムによる選出で、ITmedia NEWSもよくピックアップされていました。ただそれはいったんなくなって、後に今の形で復活したんですよね。メディアがTwitterに送ったモーメント(ツイートのまとめ)の中から記事をキュレーションする形になりました。

ヨシカワ いちユーザーとして変わったことに気付いていなかった。どっちにしろ説明不足な気がします……。

 モーメントについては、Twitterとメディアの内情を明かしたジャーナリストのツイートも話題になっていましたね。「メディアがTwitterJPに『うちの記事を載せてよ』と連絡している」ことを打ち明けた内容でしたが。

セリザワ 驚いた人も多かったと思います。

ヨシカワ 確かにTwitterJPは、さまざまなメディアから送られたモーメント(ツイートのまとめ)をピックアップして、「おすすめ」(Twitterからのサジェスト)欄などに載せていましたね。ただ、特定のメディアだけではなくて、ITmedia NEWSを含むさまざまなメディアからのモーメントを受け付けていて、その中から選んでいたと聞いています。何を載せるかはTwitter側に一任する形ですね。

 だからモーメントを送ったからといって必ずおすすめ欄に載せてもらえるわけではないし、同じ話題を記事にしても、別の媒体に先を越されることもありました。少なくともITmedia NEWSではそうでした。

 もしかするとここも、TwitterJPが一部Webメディアとのみモーメントのやりとりをしていた、と勘違いしている人もいるのかもしれません。TwitterJPがどういった基準でモーメントを選んでいたかまでは聞いていませんが……。

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