ヨシカワ とはいえ、今生じている変化はおそらく不可逆なわけですが。今後、Twitterはプラットフォームとしてどうなっていくと思います?
サイトウ 海外メディアのコラムとかだと、「TwitterはメディアではなくSNSになろうとしている」という言説を見かけます。これまでは広報や情報を届ける場だったけど、イーロン・マスクは昔ながらの狭いSNSというか、交流の場にしようとしている、という趣旨ですね。
ヨシカワ Twitterでは「2ちゃんねる再来」なんて声も見ますね。
キーチ インターネット老人会的な視点で話すと、Twitterはハンドルネームのついた2ちゃんねるであって、メディアと思っている人は誰もいないと思いますがw
ヨシカワ 今までもユーザーと提供側でのすれ違いが見られましたね。特に日本のユーザーは昔のSNS的にTwitterを使っていると思うんですけど、一方でTwitterは広告プラットフォームとしてサービスを開発・提供していた。それがSNSとしてのサービスの使い勝手に影響したとき、トレンド欄が燃えていた気がします。
サイトウ ここはすごく大事ですね。2ちゃんねるは広告ビジネスにはなり得ないじゃないですか。一方で、メディア事業で広告を載せようとすると、サービス内に出るコンテンツ、つまりユーザーのつぶやきなどをどう調整するか大事になる。そこのせめぎ合いが、ユーザーとTwitterのすれ違いの正体だと思います。
ヤマー 広告ビジネスが根幹だからだと思うんですけど、より広告を露出するために、よりユーザーの滞在時間を伸ばすようにTwitterが改変されてきた気がしています。先ほど話したトレンドとかもそうだと思うんですけど、Twitterの中で新しい話題を見つけて、Twitterの中でそれについて語ってもらって滞在時間を伸ばしていく。そのサイクルで広告クライアントにとって魅力的な媒体を目指す、ですね。
イーロン・マスクはまずそこを変えたいのでは、と思っています。売り上げにおける広告依存の比率を9割から5割に下げたいという方針もそこにつながるのかもしれません。広告を露出するための仕組みを根本から変えないと、TwitterはSNSに戻れないと考えているのではないかなと。
キーチ 残りの5割はサブスクだよね。
ヤマー ですね。さすがにサブスクだけでサービスを維持するのは無理なので、広告の維持は必須だと思います。ただ、ユーザー体験を無料版と差別化することで、課金ユーザーを増やすことはできるはず。YouTube Premiumと一緒じゃないかな。
キーチ そういう意味では、現在のニュース欄については、今後も残るのであればいずれアルゴリズムで管理するようになるのかもしれない。イーロン・マスクはすごく合理的な人だと勝手に思っているので、人海戦術とかメディアとTwitterのウェットな関係構築はやらない気がします。
ヤマー イーロン・マスクはTwitterのアルゴリズムをオープンソース化すると提唱していましたね。
参考記事:イーロン・マスクが唱える「自由なTwitter」の功罪 買収がもたらす“変化”とは
キーチ そうすると、機械的に選別するけど、その内情を秘密にするのではなく、アルゴリズムの方向性を公開する、みたいなやり方になるのかな。
ヤマー そうやって検証可能な状態にしていくと、提供側とユーザーの「情報の非対称性」もなくなっていくかもしれませんね。
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