ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

新宿御苑、Suicaなどでチケットレス入園可能に 実際に使ってみた(2/2 ページ)

» 2022年11月09日 17時37分 公開
[島田純ITmedia]
前のページへ 1|2       

チケットレス入園してみた

 今回、筆者はモバイルSuicaを使い入園してみました。モバイルSuicaの利用履歴には「物販」として、新宿御苑の入園料を支払いが記録されています。フローとしては、入園ゲートを通った瞬間に500円のチケットを支払いした、ということでしょう。

モバイルSuicaで入園、物販として記録された

 新宿御苑は、昼食などのために一度門の外に出ても、また園内に再入園できます。この際も、交通系ICでの入園を理由としたデメリットは特に無く、窓口に申し出ると再入園用の紙のチケットを発券してもらえます。

 従来は、初回の入園時に利用したQRコードが印字されている入園券を窓口に提示することで再入園できましたが、交通系ICカードで入園した場合はそもそも紙のチケットを何も持たない状態ですので、この運用に変更されたのでしょう。

再入園用は紙のチケットを窓口に提示

割引対象の人は引き続き書類提示が必要

 新宿御苑の入園料はおとな一般500円ですが、65歳以上は半額の250円に、団体割引では1人400円、障がい者は無料などの各種割引が適用されます。こうした割引を適用するためには、引き続き年齢などを証明書する書類など提示が必要ですので、一般チケットを交通系ICカードを使って入園するのと比べれば手間がかかります。

 それでも、ボリュームが最も大きいことが想定される、おとな一般の入園については交通系ICカードで入園できるようになることが十分に認知されれば、行列を避けたスムーズな入園に大きく貢献しそうです。

年パスも自動改札化

 また、新宿御苑を頻繁に利用する方は年間パスポート(おとな2000円、高校生1000円)を購入しているでしょう。筆者も新宿御苑で子どもと遊ぶ機会が増えたため、年間パスポートを購入しています。

 これまで年間パスポート所持者の入園時は、各門に設置されている有人窓口で年間パスポートに印字されているQRコードをスタッフに読み取ってもらう必要がありましたが、これも交通系ICカード対応と同時期に、窓口を通さずに機械でQRコードを読み取りすることで入園できるようになっています。

年間パスポートによる入園も自動化された

 交通系ICカード対応によるチケットレス化や、年間パスポート所有者が窓口で人手に頼らずに入園できるようになることで、入園にかかるちょっとしたストレスを無くしたり、時間を節約したりできるようになり、来園者とサービスを提供する施設側にとってWin-Winな取り組みといえるでしょう。

 このほかにも、交通系ICカードによる入園は東京都立川市にある昭和記念公園でも取り入れられています。昭和記念公園でも、新宿御苑と同様に一般の入園チケットであれば交通系ICカードで券売機に寄らずに入園できますが、65歳以上の方向けの割引は券売機や窓口での購入が必要です。また、2日券などの割引券についても、交通系ICカードでは取り扱いすることができません。

昭和記念公園も交通系ICカードで直接入園が可能に
2日券などは引き続き券売機や窓口で購入が必要(2020年12月撮影)

 今回紹介した新宿御苑も昭和記念公園も、どちらも施設内には現金しか対応していない店舗やサービスは残っています。それでも、桜のシーズンや紅葉シーズンの週末に大きく混雑する入場待機列が少しでも短くなったり、入園がスムーズにできるようになったりすることには大きな意味があるでしょう。水族館や動物園などでも、こうした取り組みが広がる余地はありそうです。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.