むしろ仕掛けとしてはアニメ「呪術廻戦」の五条悟役などで知られる声優・中村悠一氏による、ものすごく分かりやすく、しかも展示を見る際にじゃまにならない音声ガイドの構成の見事さの方に感心した。
またタイアップ・ソングであるBiSHの「UP to ME」がフル・コーラス、音声ガイドで聞けるようになっているのも良かった。ちゃんと、BiSHのメンバーであるアイナ・ジ・エンドによるコメント入りなので、ファンの方は音声ガイドを借りるように。
生物や植物の標本から、分子モデル、歴史に血清、毒矢や罠など、とにかく多岐に渡る展示は色んな角度から楽しめるため、見どころは人によって、興味の方向によって様々だろう。その多角的な内容が、毒という、物質でもあるし、概念でもあるし、歴史や文学でもある「言葉」で、串刺しになっているのが面白いのだ。これこそが多様性のモデル。
個人的には、内覧会でも撮影不可だった、身近ではあるものの中々本物はお目にかかれないアレとか、砒素鋼鉄のデカい現物とか、警告色を見せるアカハライモリとか、テントウムシを例に、毒を持つ生物同士の外見が似る現象の「ミューラー擬態」と、同じ地域に住む毒を持つ生物と毒を持たない生物の外見が似る「ベイツ擬態」を解説している展示、毒矢を使ったアイヌの矢を自動発射する道具「アマッポ」の展示と、その動作を見せる動画などに興奮してしまった。
他にも、よく見る割に強力な毒を持つキョウチクトウと、そのキョウチクトウを餌とする蛾の一種、キョウチクトウスズメの毒に耐えることで生き残る戦略や、日本人研究者によるフグ毒研究の歴史、ヒアリやセアカゴケグモなどの最近、日本の生活圏に現れた毒を持つ生物の標本、毒きのこを見分けるのがいかに難しいかを示す展示など、そこらじゅうに見どころがある。
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