さらに、充実した展示の写真や図版に加えて、コラムや資料も充実した図録が良い出来なのだ。中世の錬金術の本のようなイメージの箔押しハードカバーで作られた凝った造本と特殊判型に、いろんな毒の構造式と分子モデルまで収録したマニアックな編集で、持っているだけでも楽しいのに、読み物としても、資料としても充実しているのだ。これで2400円は図録ならではのリーズナブル価格。
そして、ミュージアムショップには、ベニテングタケやヤドクガエルなどの毒を持つ生物のぬいぐるみから、マルマンのスケッチブックとコラボした製品等の文房具類、各種シールやステッカーなどに加え、前述の毒(の焼き印)入りまんじゅうなどの食べ物まで。
参考までに、個人的に気に入ったグッズの写真をいくつか上げておく。何か、やたらと品数が多い辺りにも、この展示会への意気込みの熱さが感じられて、ちょっと面白い。
毒の展覧会というとキワモノっぽい感じがしたり、見世物小屋的ないかがわしさとか、ホラーっぽさとかをイメージする人も多いだろうし、科学の暗黒面的な展示と受け取られる場合もあると思う。
この展示が本当に面白いと思ったのは、あえてそういうイメージを否定せず、真面目に丁寧に作りながらも、見世物小屋的な見せ方や、毒の負の歴史、毒による被害や人間が作り出す毒、といった部分もきちんと見せることで、「毒」というものの全体像を描いていること。子どもの頃から、博物館に感じるワクワク感というのは、こういう何でもアリで、楽しげで、でも少し怖い気もする空間だからこそ生まれるものだったなということを思い出す。その意味でも、とても良い展示なので、会期が長いことに油断せず、遊びに行ってほしいと思う。
開催日程:2022年11月1日〜2023年2月19日
開催時間:午前9時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、12月28日(水)〜1月1日(日・祝)、1月10日(火)
入場料:一般・大学生は2000円、小・中・高校生は600円
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