「Experiments with Google」は、Googleが人工知能(AI)や拡張現実(AR)といった最新技術の可能性を示すために、実験的な応用例を紹介するショーケースだ。膨大なコンテンツを公開しており、その多くはスマートフォンやPCで試せる。
この連載では、多種多様な応用例の中から興味深いものをピックアップ。実際に遊んだ体験レポートを通して、裏側にあるテクノロジーや、技術の活用方法とその目的を解説する。
読者の皆さんも、ぜひ自分の手で試しながらその仕組みを学んでもらえたらうれしい。きっと、最新技術の魅力に気付くはずだ。
連載26回目の今回は、専用のWebサイトで落書きをすると、何を描いたかAIが判定するWebアプリ「Quick, Draw!」を取り上げる。作ったのはGoogleの創作チームであるGoogle Creative Labだ。
Quick, Draw!を起動すると「ノートパソコン」「鉛筆」「ドーナツ」といったお題が提示されるので、ユーザーは20秒以内にお題の絵を描く。そしてQuick, Draw!のAIは、描き途中の絵をリアルタイムに画像認識して何を描いているか推測する。推測した結果とお題が一致すれば合格だ。次のお題に進める。
つまりQuick, Draw!は、AIにお題通りだと認識してもらえるような絵を描く能力が求められるゲームだ。
深く考えずに楽しめるコンテンツなので、早速試してみよう。Webアプリ(こちらから起動)なのでPCでも使えるが、マウスで絵を描くのは難しいので、ペンを使えるスマートフォンで挑戦してみた。
第1問は「雪だるま」。2つ丸を描いたところで「日本風の雪だるまで大丈夫かな。西洋風の足があるスノーマンにした方が良いかも」と思ったが、目を描いた段階でAIは合格と判断してくれた。
2問目の「ノートパソコン」は難なくこなし、3問目の「消火栓」は悩みながら「ムーミン」に登場する生き物「ニョロニョロ」みたいなものを途中まで描いたところでクリア。その後「鉛筆」「車輪」「ヘッドフォン」と課題を順調にこなし、6問全て正解できた。
AIは何を描いているのか判定する度に「分かりました。雪だるまです」「分かりました。虹または空飛ぶ円盤です」と音声で教えてくれる。
もしかしたら自分は絵が上手なのかもしれないと自信がついてきたので、もう1回やってみた。
最初の「はさみ」は苦労しなかったが、2問目の「ジャガイモ」は難しい。どう描けばいいか見当も付かない。取りあえず丸の内側に点をいくつか打ってみた。我ながらひどい出来栄えだ。しかし、あっさりクリアできてしまった。これでいいのだろうか。
6問目の「ドーナツ」にも困った。ところが、これも自動車のタイヤみたいなものを描きかけたところで正解になった。Quick, Draw!のAIは、許容範囲が人間より相当広いらしい。
ここまで2回プレイして、どうやらAIは筆者の画力に“お墨付き”をくれたようだ。とはいえ念のため、三度目の正直で確認しよう。
1問目の「クレヨン」、2問目の「チェロ」は制限時間いっぱいの20秒かけたが、「さっぱり分かりません」という最低評価になってしまった。どちらも自分では悪くない絵だと思うものの、AIは気に入らなかったらしい。一方で、3問目の「人魚」は描いた自分でも「海老フライみたいだな」と思ったのにクリアになった。
何を描いたのか容易に判別できない絵が正解判定で、まずまずの出来栄えの絵が不正解になるなど、AIには人間の常識が通用しないようだ。
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