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「2足歩行の人間」が「4足歩行のロボット」を全身運動で直感操作するとこうなるInnovative Tech

» 2022年12月05日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 韓国のソウル大学校と米ジョージア工科大学に所属する研究者らが発表した論文「Human Motion Control of Quadrupedal Robots using Deep Reinforcement Learning」は、人が直感的に4足歩行ロボットを制御できる手法を提案した研究報告だ。前足を上げる、後ろ足で立つなど、モーションキャプチャーシステムを用いてユーザーが全身運動で4足歩行ロボットを制御する。

人が全身で4足歩行ロボットを操作している様子

 過酷な環境の探索などに有効な4足歩行ロボットだが、現場での柔軟な動きが必要になる。そこでこの研究では、直感的な動作でロボットを制御できるヒューマンモーションコントロール・インタフェースを提案する。

 このアプローチは、人間の直感とロボットの運動能力を組み合わせたものになる。運動制御モデルは、Motion retargetingモジュールとImitation controlポリシーの2つの主要コンポーネントで構成する。

 Motion retargetingモジュールは、人間のライブモーションを入力とし、それを物理的に有効な適切な4足歩行ロボットのモーションに変換する。そしてImitation controlポリシーでは、与えられた4足歩行ロボットの動きを模倣できるようにするために制御ポリシーを学習する。Motion retargetingモジュールを教師あり学習で開発し、Imitation controlポリシーを強化学習で学習する。

 主な動きは、人の腕の動きでロボットの前足が動作し、2本足の歩行でロボットが前進する。人が後ろにのけぞってパンチすると、ロボットの前足もやや上方向に伸びる。犬が前足を上げた状態で立つポーズや、そこから前足をパンチする動作も可能だ。

(a)後ろにのけぞってパンチするとロボットの前足がたた高いところに届くように動作する、(b)人が2本の足で歩行するとロボットは4本足で歩行する

 実証実験では、モーションキャプチャーシステム「Microsoft Azure Kinect」と実物の4足歩行ロボットを用い、人間のユーザーがさまざまな運動タスクを実行できるかを検証する。その結果、直進やカーブで対象物に接近するだけでなく、座位の状態で傾いて遠くの対象物に手を伸ばす、立位し高い位置の対象物に手を伸ばすなど、高度な動きにも成功した。

ロボットが後ろ足で立ち前足を伸ばす動作など

Source and Image Credits: Sunwoo Kim, Maks Sorokin, Jehee Lee, and Sehoon Ha. 2022. HumanConQuad: Human Motion Control of Quadrupedal Robots using Deep Reinforcement Learning. In SIGGRAPH Asia 2022 Emerging Technologies (SA ’22 Emerging Technologies). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 5, 1-2. https://doi.org/10.1145/3550471.3564762



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