ITmedia NEWS > 科学・テクノロジー >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

実は人間がテクノロジーの道具に? “AIにはない人間の資質”を問う異色の展示「アンラーニング・ランゲージ」(1/4 ページ)

» 2023年01月05日 17時00分 公開
[林信行ITmedia]

──あなたが人に語った意見は本当にあなたが考えたものか。実はインターネットにそう考えるよう仕向けられたものではないか。

──あなたが日々、便利だと思って使っているテクノロジーは本当にあなたに利しているのか。実はむしろあなたを利用したい誰かに利していないか。

──テクノロジーは本当に人間の能力を拡張する道具なのか。実は人間の方がテクノロジーにとって便利な道具となっていないか。

 山口県山口市のほぼ中央にある山口情報芸術センター、通称「YCAM」(ワイカム)で11月12日から始まった展示は、今や当たり前の社会インフラとなっているインターネットに、こうしたさまざまな疑問を投げかける。

現代テクノロジーの危険を可視化 次の20年を考えるプロジェクト

YCAMでは1月末まで、3年間続いた監視資本主義の問題を浮き彫りにする「鎖国[WALLED GARDEN]」プロジェクトを振り返る「鎖国[Walled Garden]プロジェクト」アーカイブ展示が行われている

 日本のインターネットの普及が始まったのは、ADSLサービスが始まった2000年といわれる。それから20年目の2020年、YCAMで「情報とインターネットの次の20年」を考える「鎖国[WALLED GARDEN]」という3年がかりの展示型プロジェクトが始動。そしてこの11月、3年間の集大成として新作パフォーマンス「Unlearning Language」(アンラーニングランゲージ)が公開された。パフォーマンスと言っても演者はプログラムされたAI、そして観客自身だ。

自分の情報がここまで筒抜けに?を実感できる「鎖国エクスプローラ」

 1階ホールにて公開されている展示作品の一つはカイル・マクドナルド氏による「鎖国エクスプローラ」の映像。

自分の情報がここまで筒抜けに?を実感できる「鎖国エクスプローラ」

 FacebookやGoogleは、両サービスがあなたに関するどんな情報を収集したかをオープンにするべく、ダウンロードして確認できるようにしている。しかし、そのデータは普通に開いてもあまりにも情報が多過ぎて普通の人は理解できない。ただ、この情報を「鎖国エクスプローラ」にかけると、監視された行動がカレンダー上に時系列で並び、あなたがインターネットで取っていた行動が、ここまで筒抜けになり、細かく分析されていたのかと驚かされることになる。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.