房野麻子「モバイル新時代」
携帯非常時の事業者間ローミングいつ実現? 対応方法によってはMVNO危機も(1/2 ページ)
2022年にモバイル業界を騒がせた出来事の1つに、KDDIの通信障害がある。7月2日から約3日間、au 、UQ mobile、povoの回線がつながりにくくなり、金融機関や配送業務、一部の緊急通報が遅れるなど大きな影響があった。
この通信障害を契機に総務省が立ち上げたのが「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」だ。自然災害や通信障害などの非常時に、臨時的に他事業者のネットワークを利用する事業者間ローミングによって、通信サービスを利用できる環境を整備することを目的としたものだ。22年中に6回の会合が行われ、12月に第1次報告書が公表された。
報告書では基本方針として、携帯電話事業者は、「一般の通話やデータ通信、緊急通報機関からの呼び返しが可能なフルローミング方式」による事業者間ローミングをできる限り早期に導入することとされている。
フルローミングの対応は、検討会で警察や消防、海上保安庁の緊急通報受理機関が、通報者に折り返し電話ができる「呼び返し」の重要性を強調したことや、フルローミングを要望する有識者が多かったことが背景にある。
しかし、呼び返しするためには、携帯電話事業者の加入者データベース(HSS)を参照する必要がある。基地局のアンテナが被害にあって障害が起こったような場合は、他事業者のネットワークを利用してそれも可能だが、KDDIの通信障害のように、HSSやその近くで障害が起こった場合にはローミングできないことになる。
第5回の検討会でチップベンダーの立場として出席したクアルコムからは、フルローミングに対応する場合、「対応のために大きな変更が必要な場合は、ソフト開発に時間がかかり、対応ソフトを市場へ出すには数年を要する」という見通しも示された。非常時における事業者間ローミングをフルローミングで実現するには、少し時間がかかりそうだ。
ちなみに、携帯端末によっては対応している周波数帯が異なるため、基地局から出る周波数帯によっては利用できないケースが発生するおそれがある。ユーザーは、自分のスマホが非常時のローミングに対応しているかどうかを確認できるようにしてもらわなくてはならない。また、今後発売される携帯電話は、事業者間ローミングを可能にする周波数帯に対応することが期待される。
なお、現在主流の4G、5Gとは通信方式が異なる3G携帯電話は、KDDIに続き、ソフトバンク、ドコモもサービス終了を予定しており、事業者間ローミングの対象機種にはしないという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
房野麻子「モバイル新時代」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
中国メーカー、出荷前のAndroid端末に犯罪用のバックドアを設置か Googleが取引停止
-
2
セキュリティ啓発団体に不正アクセス 個人情報最大1.5万件漏えいか
-
3
松屋アプリ、9日ぶり復旧 「お詫び」でポイント最大3倍
-
4
年収やローン保証額、免許証番号など最大32万人分漏えい SMBC系、保証業務システムに不正アクセス
-
5
サイバー攻撃対策で自社通販サイト閉店 ドールのアゾン「個人情報を社内に保管しない」方針へ
-
6
「給与維持の週休3日制」AI効率化で実現 しかし社員が喜ばず……なぜ? 「ライザAI」提供企業で起きたこと
-
7
複数の信金でATM利用・振り込みできず──共同システムで障害、128信金に影響か 再開めど立たず
-
8
ドコモ不正アクセス、最大30万件の顧客情報流出 「My docomo」など緊急メンテ、再開未定
-
9
ゲーセンに真っ暗な画面ずらり……セガ系システムの障害が長期化、復旧めど立たず 原因は不正アクセス
-
10
まんだらけ、不正アクセスで個人情報漏えいの恐れ 通販サイト停止で「大オークション大会」も延期に
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR