事業者間ローミングの実施に限界があり得ることから、公衆Wi-Fiや複数SIM端末の利用など、ローミング以外の通信手段の利用を促すべく引き続き検討会で議論を進め、今年6月頃までに第2次報告書を取りまとめる予定だ。
例えば、緊急通報の発信だけを可能とするローミング方式。HSSに障害が起こった場合、フルローミング方式によるローミングはできないが、携帯電話からの緊急通報の発信のみ可能とするローミングは実現できる可能性がある。
この方式の場合、緊急通報受理機関からの呼び返しはできず、受理機関に対するいたずらが発生する恐れもある。しかし、緊急通報がユーザーにとって唯一の命綱となる場合もあり、早期導入が期待されている方式だ。検討会ではいたずら防止策の実現可能性も含め、検討を続けていく。
また、複数のSIMを利用するサービス、公衆Wi-Fi、衛星通信、HAPS(携帯電話基地局装置を搭載して高高度を飛び続ける無人飛行機)も、通信障害が発生した際の非常時の通信手段として期待されていることから、関係事業者の取り組み状況をフォローアップするとしている。
複数SIMを利用するサービスについては、今後、多種多様なサービスメニューの登場が期待されるが、ユーザーにとって過度な料金負担とならないように配慮されるべきとしている。
実際、携帯電話事業者(MNO)は、複数SIMを利用して、互いにMVNOになり合うようなサービスを検討しているようだ。しかし、それに懸念を示したのがフルMVNOで格安のデータ通信サービスを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)。同社はKDDIの通信障害直後、通常の約8倍もの申し込みがあったというが、MNOが低料金でサブ回線のサービスを提供するようになれば、MVNOは太刀打ちできなくなる可能性が出てくる。
報告書ではフルMVNOの事業者間ローミングへの参加を期待しており、こうした懸念点も含め、検討を進めていくようだ。
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、業界動向を追っている。
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