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楽天モバイル単体で4928億円の赤字 「2023年は勝負の年」と話す三木谷氏の“劇的なコスト削減”策とは?(1/3 ページ)

» 2023年02月14日 18時53分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 「とにかく0円がいいとか、とにかく安いほうがいいというユーザーさんではなく、楽天のロイヤルカスタマーの皆さまを中心にして、健全な成長をしていく」――。

 純損益が過去最大の3728億円の赤字となった楽天グループ。2月14日の決算会見で、赤字の元凶となった楽天モバイル事業について、三木谷浩史会長はこう話した。「0円プラン廃止」後、“血を入れ替えた”楽天モバイルは、ARPUが大きく改善し、ユーザー数の減少という出血も止まった。

 しかし、3期連続の大赤字の中、楽天モバイル事業を軌道に乗せるための道は茨の道だ。「2023年は勝負の年」と話す三木谷氏の戦略を探ってみよう。

「2023年は勝負の年」と話す三木谷浩史会長

営業損益は3639億円の赤字

 2022年12月期の楽天グループ通期決算は、売上高は14.6%伸びて1兆9279億円と好調なものの、営業損益は3639億円の赤字と赤字幅は1692億円も拡大した。その原因は、大きな投資を続ける楽天モバイル事業だ。

 楽天モバイル事業は、通期で売上高が3687億円(対前年比62%増)、直近の第4四半期(10-12月)でいえば同75.2%増加するなど伸びてはいるが、赤字額も凄まじい。通期の営業損益は4928億円の赤字。次第に赤字額は減少してはいるものの、直近の第4四半期でも1126億円の赤字となっている。

売上高の2倍のコストがかかっている楽天モバイル事業。四半期あたりの赤字額は、金融事業の通期利益額を超える

 楽天市場を中心としたインターネットサービスが通期で782億円の黒字、楽天カードを中心とした金融事業が通期で987億円の黒字。これらの黒字を軽く帳消しにする赤字がモバイル事業では発生している。これを2023年内に「なんとか頑張って単月黒字にしていきたい」というのが、三木谷氏の計画だ。

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