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ChatGPTに難解な「量子コンピュータ」の仕組みを尋ねる 分かるまで問い詰め続けてみたら?AIに相談だ!(2/2 ページ)

» 2023年03月14日 17時00分 公開
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ChatGPT 量子コンピュータは通常のコンピュータとは違い、量子力学の原理を利用して情報を処理するコンピュータです。これにより膨大な量の情報を高速に処理できます。

質問 量子力学とは何ですか?

ChatGPT 量子力学は物理学の一分野で、微小な粒子のふるまいを研究する理論です。量子力学は現代物理学の基礎であり、量子力学の原理を応用して、量子コンピュータや耐量子計算機暗号などの技術が開発されています。

質問 量子コンピュータでは量子力学をどのように活用していますか?

ChatGPT 量子コンピュータは、量子ビットと呼ばれる特殊な単位を利用して、高速な情報処理を行います。

質問 量子ビットとは何ですか?

ChatGPT 量子ビットとは、量子コンピュータにおける情報の基本単位で、0と1の両方の状態を同時に表現できる量子力学的な状態にあります。

質問 0と1を同時に表現できるというのがピンときません。

ChatGPT 量子ビットは0と1の両方の状態を同時に持てるため、「0か1か分からない」状態を表現できます。この状態を重ね合わせ状態と呼びます。この性質により、量子コンピュータは膨大な数の計算を同時に行い、高速な処理を実現できます。

質問 重ね合わせができるとなぜ高速に処理できるのですか?

ChatGPT 量子ビットが重ね合わせ状態を取ることで、同時に多くの演算を行えるため、高速な処理が可能になります。

最後の答えはちょっと変なので解説

 まずは最後の回答の訂正だ。量子コンピュータは量子重ね合わせのおかげで並行処理をしているわけではない。処理そのものを高速化しているわけでもない。よくある“ふんわりとした量子コンピュータの理解”をそのままChatGPTが学習してしまったように見受けられる。

 量子コンピュータは量子力学における「量子重ね合わせ」という性質を利用して情報を処理する。一般的なコンピュータの情報の最小単位は1ビット(古典ビット)で、表現できる情報は0か1のどちらかだ。量子ビットは1つで「0かもしれないし1かもしれない」状態を表現できる。

 例えば4個の古典ビットでは2の4乗で0〜15までを表現できるが、一度に表現できるデータは1つしかない。例えば1001を10進法に直せば9だし、1101なら13だ。

 一方、4個の量子ビットは何も操作を加えていなければ、0000から1111までを等しく取りうる可能性がある。1001かもしれないし、1101かもしれない。他の可能性もある。「観測」するまで世界中の誰にも中身は分からない。

 0000から1111までそれぞれについて何か計算して比較するなら、一般的なコンピュータでは一連の計算を16回行わないといけない。量子コンピュータでは0000から1111までを取りうる量子ビットに一連の計算を一度行えばいい。これは並行処理とはまた違うプロセスだ。処理前には0000から1111まで等しく観測確率があったところ、処理によって例えば1011の観測確率を上げる、というようなことができる。

 するとなぜ「高速な処理になるか」というと、こうした量子の性質を使えば一部の計算、例えば素因数分解やデータ検索などで大きな計算問題を扱う際に、「従来のコンピュータに比べて“劇的に少ない演算回数”で答えを求められるアルゴリズムが見つかったから」だ。

 だからどんな問題でも速く計算できるかはまだ分からない。そして劇的に少ない演算回数で解けると言っても、現代のスーパーコンピュータは1秒間にすでに天文学的な回数の計算が可能になっている。

 これはあくまで比喩で正確な数字ではないが、スパコンでは1万回の処理が必要なところ量子コンピュータではたった1回での処理で済むとしても、スパコンは1秒間に1兆回処理でき、量子コンピュータは1秒間に1回しか処理できないとしたら、計算結果が出てくるのはスパコンの方が速いということになる。

 高速な処理というより、効率の良い処理が可能なのが量子コンピュータなのだ。その効率の良さをもってしてスパコンより速く実用的な計算結果を出せるかどうかは今後の研究開発にかかっている。

AIは面倒な問いを何度聞いても怒らない

 最後の問いについてはやや解説も必要だったが、AIの何がいいかといえば、こんな難解な概念について、どんなにしつこく質問しても怒らずに対応してくれる点だ。小学校に入りたての子供に「何で1+1=2なの?」と質問攻めされたら、納得するまで丁寧に説明し続けられるだろうか。

 場合によっては、返答が常に正しいとより価値あるものになるだろう。それができるようになったときは、個別指導塾が破綻するかもしれない。

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