そのようなビジネスカードの用途にも、社会のデジタル化の進展とともに変化が生じてきている。
アスクルなどの企業向け通販だけではなく、Amazonや楽天などの個人向けECも徐々にビジネス用途で利用されることも増え、その利用にはクレジットカードが必要である。また、Google WorkspaceやMicrosoft Office 365をはじめとしたサブスクリプション型のサービスも、支払手段は原則としてクレジットカードのみだ。
ここまでであれば、総務や情シスなどの限られた部門用のクレジットカードを用意すれば事足りる。問題は、AWSなどのサーバ代、GoogleやFacebookなどの広告代といった事業運営に欠かすことができない高額な費用までもが、クレジットカードでしか決済できないケースが出てきたことである。特に数人で起業し、ベンチャーキャピタル(VC)などから調達をしたスタートアップにとって、サーバ代とインターネット広告代がクレジットカードでしか支払えないことは大きな頭痛の種であった。
創業から数年しか経っておらず、しかも赤字であるため、多くのスタートアップのクレジットカードの利用枠は100万円程度しかない。事業が軌道に乗るほどにサーバ代も広告代もどんどん増えていくが、ビジネスカードの利用枠はそんなに短期間では増加しない。銀行口座に数億円の預金があったとしてもだ。
社長の個人名義のクレジットカードを活用したり、複数のビジネスカードを駆使して、サーバや広告が止まらないように綱渡りのやりくりをしながら事業を運営している初期スタートアップは多い。スタートアップ規模の利用額では、請求書払いに変更する交渉は難しいからだ。
私もスタートアップのバックオフィスをやっていた際には、このクレジットカードの利用枠問題には本当に苦労した。どんなに交渉しても、カード会社の審査基準はスタートアップのような急成長する企業を念頭においていないため、満足のいく利用枠を得ることはできなかった。
そんな時、スタートアップのこの悩みを解決するために登場したのが、ライフカードの利用先限定ビジネスカードだった。
利用先限定ビジネスカードは、「AWS」(サーバ代)「Google」(広告代)などあらかじめ申請した用途にしか使えない代わりに、ライフカード独自の審査基準で高額の利用枠が付与されるというものだ。しかも利用額の1%がキャッシュバックされる。このカードのおかげで、安心して事業が運営できるようになったスタートアップは多い。派手な宣伝などはしなくとも、スタートアップ界隈の口コミでこのカードには申し込みが殺到したと聞く。
赤字を掘りながら一気に成長を加速させようとするスタートアップには、高額の利用枠は付与されない。しかし、スタートアップはVCなどから投資を受けるため、数千万から数億円の現金を銀行口座に持っているのである。クレジットカードの利用枠が少ないために十分な広告出稿ができなかったり、サーバの容量が不足してサービスが不安定になる。払えないわけではないからこそ、スタートアップの多くは強いペインを感じていた。
freeeやマネーフォワードもこの歪みを放っておくはずはない。この2社も創業初期はスタートアップの与信枠が少なすぎる問題で苦労してきた。クラウド会計のデータを参照すれば、過去3年分の決算書を提出してもらうよりもタイムリーに各社の財務状況を把握することができるため、両社はそれらを活用した独自の与信モデルを構築し、freeeカード Unlimitedやマネーフォワード ビジネスカードを提供している。
銀行口座やクレジットカード、ECの利用明細などは全てクラウド会計に連携されているため、通常のビジネスカードよりも財務実態を反映した適切な与信枠が付与されることが多い。それに加えて、各ビジネスカードの利用明細がほぼリアルタイムに反映されるなど、ユーザーにとってのメリットは多い。
さらに、UPSIDERとバクラクビジネスカードは、ビジネスカードそのものを大きく進化させるサービスを提供している。後編ではそれぞれの特徴を掘り下げていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR