その一方で、日本はのけ者にされてしまうアップデート内容もありとても残念です。エアコンを効かせた車内にペットを残し、短時間クルマを離れることができる「ドッグモード」において、愛犬家は悔しい思いをしています。ドッグモード自体は日本でも利用できるのですが、海外では、モバイルアプリからルームミラー上部のキャビンカメラを経由して、車内の愛犬の様子をスマホで遠隔地から確認することができます。
この他にもキャビンカメラを利用したZoomミーティング機能といったワクワクするような内容も日本ではパスされています。ちなみに、Zoomミーティング機能が有効になっても、私の2021年製のModel 3は、インフォテインメント系CPUがIntel製の「Atom」のため機能しないそうです。Zoomミーティング機能は、より強力なCPUであるAMD製「Ryzen」を搭載した22年以降のModel 3やModel Yで利用可能になると言われています。
ただ、このキャビンカメラにおいて、事実であれば、Teslaユーザーとして許し難い内容の報道がありました。ロイターが4月7日付けで配信した記事「Tesla workers shared sensitive images recorded by customer cars」によると、キャビンカメラで収集した映像や画像が、テスラ社内で息抜きのネタとして共有されていたというのです。
記事によるとAI学習用のラベル付けを担当するメンバーが、おもしろい画像を見つけたらそれを部署内のグループチャットで回し見して、楽しんでいたと報じています。中には、人に見られたくないような親密な光景、恥ずかしい場面や物体も含まれていたといいます。
テスラでは、個人情報保護に関する厳格なポリシーを採用していることを謳った上で、AIの学習用に映像や画像を収集しているのですが、事実であれば由々しき事態です。記事によると現在社内調査中とのことなので、早急な対応を望みます。
テスラに限らず、スマホなどでのクラウドの写真共有は、プラットフォーマー側がその気になれば、内容を閲覧できてしまうのは同じです。サービスを利用するユーザーにとって基本的に自衛する手段はありません。クラウドやAIが高度化した時代におけるプラットフォーマーとしてのガバナンスとコンプライアンスが問われる場面です。
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