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「ペリドット」は古いiPhoneでも実在感のあるARが楽しめる 難点はバッテリー消費

» 2023年05月10日 12時11分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 米Nianticは5月9日、最新のAR技術を投入したスマートフォン向けペット育成ゲーム「Peridot」(ペリドット)の配信を始めた。数年前のiPhoneでもストレスなく動くが、端末の負荷は大きいようだ。

卵から生まれたペリドット(写真=左)、芸を教えようとしているところ(写真=右)

 Peridotは不思議な生き物「ペリドット」(以下、ドット)を育てて繁殖させるゲーム。卵から生まれたドットにエサをやり、ボールで遊んだり、芸を覚えさせたりと“お世話”をすると大人の姿になり、繁殖するようになる。

 ドットは独自のDNAを持ち、親の特徴を引き継げるため、おそらく繁殖が“やりこみ要素”になるのだろう。ただ今回は、配信から1日しか経っておらず、手元のドットはまだ「赤ちゃん」。繁殖はできない。

キーボードに乗っても問題なし

 ペリドットの売りの1つは「まるでそこにいるかのようなAR表示」だ。実在する床や机を認識し、画面内でドットが机の上に座ったり、机の下に隠れたりするオクルージョンと呼ばれる処理にも対応した。

 今回は2017年発売のiPhone Xでプレイした。この頃のiPhoneはLiDAR(レーザーで距離を測るセンサー)を搭載していないため、ARで周囲にあるものを認識する際に机や床との距離を検出できない。

 ただしNianticはLiDAR搭載以前から、画面に映った物の距離や配置を検出するリアルタイムマッピングという技術を開発していて、ペリドットでもそれを生かす形でLiDAR非搭載の端末もプレイ可能にした。iPhoneの場合はiPhone 8以降だ。

ペリドットの推奨環境

 確かにiPhone XでもAR表示のレスポンスは早く、キャラクターの動きにもストレスは感じない。むしろARを使わないメニュー表示の方が遅いと感じるくらいだ(それはそれで問題かもしれない)。LiDARを搭載したiPhone 12以降なら、より精度の高いARが楽しめると思う。

 なにしろ「ポケモンGO」にAR撮影機能「GOスナップショット」が実装された19年ごろは、なかなか平面を検出できず、いつまでもポケモンが現れなかった。しかも「将来の技術」として紹介されていたオクルージョンが、当時と同じハードウェア(iPhone X)の上で当たり前のように実行できているのだから、すごい進歩だ。

 一方で気になったのはバッテリーだ。ペリドット起動中はカメラやAR処理がフル稼働しているためか、ポケモンGOを起動したまま散歩した時の半分程度の時間でバッテリー残量表示が赤くなった(20%以下)。あくまでも体感で厳密に計測したわけではないが、ペリドットのAR表示は全てローカル処理で重いと聞いていたので不思議ではない。

 またiPhone 14 Pro(2022年発売)でペリドットをプレイしていた同僚は、バッテリー残量こそ気にしていなかったものの、端末がかなり熱くなったと話していた。ペリドットはAR前提のゲーム。夏場はスマホを冷却する手段やポータブルバッテリーの併用を考えた方が良いのかもしれない。

散歩中(写真=左)。ポケモンGOではゲーム内告知が遅いと散々言われていたNiantic。今回はゲームから「CampFire」のユーザーコミュニティにアクセスできる機能を設け、疑問があればいつでも他のユーザーに聞けるようにした(写真=右)

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