LastPassは2008年に米国で設立されたスタートアップである。15年にPCのリモートアクセスツールなどを提供するLogMeInに約150億ドルで買収されたが、21年にLogMeInを離れて再び独立企業となった。スピンアウト発表時のユーザー数は3000万人以上であり、8万5000社以上の企業で利用されている。
Lastpassは創業時から一貫してフリーミアム(無料での機能提供)モデルをとっており、この点が後述する1Passwordとの大きな違いである。無料版では広告の表示とマルチ端末での利用(PCとスマホの両方など)が制限されていることなどの制約はあるが、パスワードの保存や生成などは問題なく行うことができる。
利用方法は非常に簡単で、LastPassのアカウントを作成する際に「マスターパスワード」と呼ばれるものを設定し、以後はID(メールアドレス)とマスターパスワードを使ってサービスにログインをして、他のツールのID・パスワードなどを管理していく。「マスターパスワードがあなたが覚える最後の(唯一の)パスワードである」という意味がLastPassという名前には込められている。
PCで利用する場合は、ブラウザの拡張機能にLastPassをインストールして利用することが一般的だ。ブラウザ上で各サービスのログイン画面が表示される際には、LastPassがIDとパスワードを自動的に入力してくれるため、ユーザーは各サービスのパスワードを覚えておく必要がない。アカウントを作る際にも、LastPassの機能を使って安全なパスワード(8〜12桁、ランダムな文字列、記号と数字を含むなど)を生成でき、そのIDとパスワードをLastPass上に保管できる。
パスワード管理ツールを使うことで、安全なパスワードを簡単に生成することができる上に、各パスワードを覚えておく必要がない。パスワードの使い回しも起こりようがない。
「LastPass上に保管されているパスワードは暗号化されており、厳重に保管されている」と言いたいところだが、LastPassは過去に2度セキュリティ問題を起こしている。11年にはセキュリティ上の問題が発見され、パスワードのハッシュが流出した可能性が取り沙汰され、サーバを再構築している。22年にはハッキング被害にあっており、当初は顧客データやパスワードの流出はないと発表していたものの、その後の調査で顧客データが盗まれていたことが発覚するなど、二転三転した対応で非難を浴びている。
無料で使い始めることができることから、個人や中小企業での利用が多いと思われるが、チームで管理するためのビジネス版も用意されている。ただ、日本語でのサポートは提供されておらず、通知メールやアプリの表示もすべて英語であるため、日本企業での利用はややハードルが高いかもしれない。
筆者はもう個人ユーザーとして10年以上LastPassを利用しており、22年のセキュリティ問題が発覚した際はかなりビックリしたが、LastPassのアプリケーションが他のパスワード管理ツールと比べて非常に使いやすいこともあり、保管していた各サービスのパスワードを変更を行った上で利用を継続している。
ちょうどいい案件管理ツール board
Evernote vs Notion デジタルのメモ帳か、チーム共有のドキュメント管理ツールか
生産性を激上げする日程調整ツール対決 Calendly vs Spir
法人もキャッシュレス なぜ銀行振込からカード決済に? UPSIDER vs バクラクビジネスカード(前編)
Slack vs. Chatwork ビジネスチャットの思想の違いを探るCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR