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テレビの“テロップ制作”にもクラウド化の波 業界最大手が挑む高き壁小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2023年06月22日 17時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 放送というのは、映像と音声だけではなく、実にたくさんの文字情報で成り立っている。タレントのしゃべりに逐一テロップが乗るという話だけではない。お天気情報では各地の天気が表組みで示されるし、スポーツの結果も一覧で紹介される。ニュースでも見だしや説明テロップが挿入されるし、バラエティではタレントのしゃべりに逐一テロップが乗る。

 こうした放送用の文字情報は、「キャラクタージェネレーター」という装置で制作される。ゲームの世界ではキャラクタージェネレーターとはゲームキャラクターをデザインするためのツールだが、放送機器で言うキャラクターとは「文字」の意味だ。日本の放送で使われるキャラクタージェネレータの最大手が、株式会社朋栄のVWS/EzVシリーズである。

 このような文字情報は、テレビ局内では専用のスタッフが常駐する「CGセンター」や「アートセンター」といった部署で集中的に制作する。CGはComputer Graphicsのことではなく、Character Generatorの略なので、まあ両方やっている人にはややこしい話である。

 文字情報は番組ディレクターがCGセンターへ原稿とともに発注する。CGセンターでは原稿を元に文字情報をデザインし、テロップ専用データベースに登録する。それを校閲・確認したのち、送出システムに登録され、自動あるいは手動で送出される事になる。

VWSによる文字情報制作のワークフロー(朋栄提供資料)

 キャラクタージェネレーターは、文字入力やデザインにも使われるだけでなく、映像信号の出力機としても機能する。具体的には、フィル信号とキー信号の2つを出力し、スイッチャーでエクスターナルキー合成していく。

 つまり完全に局内設備であり集中管理なわけだが、2020年からのコロナ禍突入でこの方法論がネックとなった。

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