その一方で、渋滞と電費の関係において、「高速走行>渋滞」と単純に言い切れない体験もしています。それは21年11月の東名高速道路におけるリニューアル工事渋滞でのことです。このときの渋滞はひどいものでした。
高速道路でありがちな、完全停止するでもなく何km、何十kmをノロノロと進むという類いの渋滞ではなく、完全停止→少し進む→完全停止を延々とくり返すものでした。3.27kmの工事区間を抜けるのに、1時間10分以上かかりました。ログ上の平均時速は2.71km/hと記録されています。
この区間でのバッテリーの消費は1%です。「TESLA WIKI」によると2021年製Model 3 ロングレンジのバッテリー容量は82kWhとあります。ということは、0.82kWhの消費です。渋滞区間である3.27kmだけの電費を算出すると、1.33km/kWhです。90km/h前後で順調に流れている高速道路では、5〜6km/kWhなので、その悪化ぶりをご理解いただけるものと思います。先ほどの中原街道の事例とは正反対の結果を示しています。
図のグラフを見るとバッテリーの消費(黒線)はゼロ付近で推移し、速度(緑線)に合わせて少しだけ上振れしているだけなのに、なぜここまで悪化したのでしょうか。まず疑うべきは、エアコンによる電力消費です。このときは外気温18度、車内温度21度と記録されています。真冬のように暖気ガンガンというわけではありませんが、それなりに暖房が効いた状態です。
それにしては1.33km/kWhは悪化しすぎです。残念ながらこのときのModel 3のスクリーンは、エアコン単体での電力消費についてデータを確認することはできないので、この時点では推測で「おそらくエアコンが原因」としか言えません。その後のソフトウェアアップデートでエアコン単体の消費率が分かるようになりました(後に詳述)。
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