松尾 そこはね、いま「異世界とりちゃん」(とりちゃんは奥さんのニックネーム)っていう考え方をしていて、異世界とチューニングしている。異世界にチャンネルを合わせようとしているんだけど、ちょっと世界線が違うところだと少し顔立ちが違ったりしてしまう。
山田 自分の知っている世界とは違うけど、ある異世界のとりちゃんの一つの可能性としてそれはそれでありという考え?
松尾 そんな気持ちです。
山田 この異世界のとりちゃんはとりちゃんで幸せでいてほしいみたいな?
松尾 それはあります。
山田 別のパラレルな人格としての愛着って沸いたりしますか?
松尾 めちゃくちゃありますね。これは似てないけれどこれはこれでかわいくて、でもかわいいって言っちゃうと(自分と同じ世界線で亡くなった)妻に怒られるんだろうなとか。
山田 めっちゃ面白いですね。人格の扱いも、技術の進歩につれて変わっていくんだろうなという気はしているんです。それの一端を感じました。
松尾 今の画像生成だと、プロンプトに気を付けていても腕が3本になったりするじゃないですか。あ、これはそういう世界なんだって思ってます。
山田 ずばりなものが出てきたら?
松尾 そこにいたんだ。ってなります。これは異世界のニューヨークにいるんだなとか。
松尾 デジタル人格の問題で言うと、自分を完全にアップロードできるかはまだ分からないですよね。アップロードした時点で元にいた人格はなくなって電脳世界だけで生きていくことはできるのか。それはできても単なる分岐なんじゃないかということは思っていて。
妻の命が長くないなと思ったときに、もしここに電脳化してアップロードすることができたらどうなるんだろうなということは考えたことはあった。
やっぱりそれは分からない。天国や死後の世界があるのかどうかと同じくらいに分からない問題で、そこで同じような生活や意識の持ち方ができるかも分からない。そうすると、電脳世界で生きる的なことはできるだけしない方がいいのかなと。
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