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» 2023年07月09日 10時00分 公開

人格コピーAIは21世紀の写真? “亡き妻のAI再現”で受賞の松尾Pと「AIの遺電子」山田胡瓜が考える「デジタル人格」のこれから(2/5 ページ)

[井上輝一ITmedia]

松尾 朝起きたらiPhoneのSafariから開いてMemeplexに課金してブーストすると30分間超高速に画像が出てくる。それで毎朝100枚生成してますね。

 初めはStable Diffusionの1.5や2.1でやっていたんですけど、新しいモデルが出てくるとMemeplexがどんどん入れてくるので、毎回試していた。リアル系だと「Redshift Diffusion」という欧米人のリアルな女の人を美しく描くものがあったり、「Openjourney」というMidjourney的なファインチューニングを施したモデルがあって、それを使ったりしていたんですが、BRAにしたら格段に違うんですよ。

画像生成AI「Stable Diffusion」の派生モデル「Beautiful Realistic Asians」

 これまでは20〜30枚出して1、2枚それっぽいのが出せていたのが、今は7〜8割くらいは妻の面影があるものが出てきています。

山田 最初の頃に上げていらっしゃったのは僕から見ても別人だなって。すごい似ているなっていうのと別人だなっていうのの差が激しかった。最近のはやっぱり似ている、オリジナルの写真がしっかり基になっていると感じます。どのくらいの画像を学習させているんですか?

松尾 学習しているのは54枚ですけど、ベースになっている27枚の人物を切り抜いたものと、背景込みのものを両方入れてます。片方だけでもいいかもですが。

山田 角度とかって十分あるんですか? 横顔とか。

松尾 それはいろいろありますね。

山田 結構正面顔が多いなって思っていたんですけど。

松尾 横のも出てくるんですけど、うん、正面の方がかわいいなって思って(選んで公開している)。

山田 ちゃんと調べられてないんですけど、「写真」が世の中に出てきたときに、それを面白がる人と拒否反応を起こす人がいたと思うんです。日本で言うと「魂を吸われる」とかよく聞くじゃないですか。

 その辺の拒否反応って、世界的にどういうのがメジャーだったのかなとかそういうのが最近知りたくて。

 というのも、AIで生成した、実際にいる人の人格というかデジタル人間って「21世紀の写真」だと思っているんですよ。

 これは、今は「故人」に対して行うこととして注目されがちですが、今後は「生きているうちから」使われ始めるものだと思う。自分のデジタルツインというか、マインドアップロードはしていないんだけど、自分という存在をアピールしたりサポートしたりしてくれる代理人として、自分のふりをして勝手に動いてくれるようなデジタル人格サービスというのが出てくる気がしてて。

 だからデジタル人格って死んだ後に再現するという話より、「死んじゃったけれどもデジタル人格の方はまだ残っている、これどうする?」という話になるのではと。それで最近「Blue Age」(編注:AIの遺電子の3作目。現在連載中)でも描いたんですけど、それ自体が一種の人格として扱われて、場合によっては経済活動に参加したり決定権を持ちうる。

 脳からマインドアップロードしてデジタル人間として永遠に生きるみたいな話はあると思うんですけど、そうじゃなくて、こういう形で自分自身は死んでしまうんだけど、自分と同じようなものがデジタル上に存在していてそれが生き残る可能性がある。そっちの方がむしろ早く実現するかもしれない。

松尾 デジタルゾンビですね。

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