AIによる文字起こしは、3年ほどまえから次第に実用的になってきている。しゃべりをテキストに起こす作業は、映像業界ではテロップ制作の効率化のために重要視されているところだ。
一方日本語と多国語との翻訳に関しても、テキスト翻訳はAIによってかなり満足できる結果が得られるようになってきた。一方音声の同時通訳に関しては、今年1月のCESで各言語へのAI通訳が試験的に投入されたが、正直まだまだで、何を言ってるのかわからないというケースが多々あった。とはいえ、「AI通訳」という文脈では多くのアプリが存在しており、日常的な簡単なコミュニケーションにおいてはすでに有効という声も聴かれるようになった。
コンテンツ制作においても、ワールドワイド対応のために外国語対応は重要であるものの、それはそれなりのコストをかけ、加えてその回収が見込めるコンテンツでなければ制作できないという足かせがある。翻訳や吹き替えには、多額の追加制作費が必要になるからである。
先日、Twitterに流れてきた情報から知ることになったアプリ、「Captions」を試してみたところ、今後は多くのコンテンツがワールド化するかもしれないという手応えを感じた。今はまだiOSアプリしかなく、MacOS版は現在ベータテスト中であるが、この6月には米国ベンチャーキャピタルから2500万ドル(約36億円)を調達し、開発を加速するという。
現時点で確認できるCaptionsのインパクトと、これがもたらす将来の可能性を考えてみる。
Captionsのインパクトは、まず実動するiOSアプリを見ていただくのが早いだろう。アプリを起動すると、プロジェクト制作画面になる。新規のプロジェクトを作成すると、撮影した動画のインポート、カメでの撮影といった作業項目が並ぶ。今回は筆者と西田宗千佳氏で共同発行しているメールマガジンのnote用オマケコンテンツの中から一部を抜粋してインポートしてみる。
現時点のiOSアプリでは、インポートできる動画の長さは5分までに制限されるようだ。とはいえ基本的には編集アプリなので、将来的にはMacOS版で長尺の編集もできるようになるだろう。
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