「AIを使うってことは、盗作ですよね?」
いつものようにX(旧Twitter)を開いて目にしたこんな投稿。クリエイターとしての仕事や、趣味に画像生成AIを活用している自分としてはドキドキしてしまう言葉でした。
いま、画像生成AIの利用については賛否が渦巻いている状況です。画像生成AIが広まり出した初期にはAI生成画像が写真コンテストに入賞することもありました。
イラスト投稿サイトの「pixiv」では5月頭に、画像生成AIへの対応をめぐる同サイトへの不信感を理由に有名イラストレーターが相次いで作品を非公開する出来事がありました。運営のピクシブは“AI生成作品”の投稿などを禁止するよう規約改定せざるを得ない事態に。
8月15日には、「スレイヤーズ」シリーズの挿絵などを担当したあらいずみるいさんが、コミックマーケット102に出した本のイラストがAI生成ではないかと疑惑を掛けられ、自分で描いていることを証明するためにイラストのレイヤー構造を動画にして投稿する、という騒動も起きたばかりです。
さまざまなシーンでAI利用に対する反発が見受けられますが、「AIを使う→即盗作」なのでしょうか? これはあくまで個人的な感触でしかないのですが、こうした考え方や意見の発信は、作り手だけでなく受け手からも多いように感じています。
クリエイターとして作品を発信する上で、AIと、そして人といかに向き合うべきかについて、自分の考えをこの記事で整理してみます。
現在の著作権法では、「類似性と依拠性」が示されなければ、AI生成画像による他作品への著作権侵害は認められないのだそうです。
意図しない限り、生成した画像が既存の画像に酷似した形で生成されることは稀ですし、個別の学習素材が持つ影響は小さいものです。……とはいっても、誰かが時間と労力を注いで作り出した作品を、画像生成AIが勝手に学習している現実は、影響の大小にかかわらず心象が良くないと感じてしまう人がいるのも分かります。
ただ、世の中にある無数の著作物から刺激を受け、新たな作品を生み出すプロセスはクリエイティブそのもので、これまでも人が繰り返しやってきたことです。であるのになぜこんな気持ちになるのでしょうか。
美術作品やエンタメ作品を見てどんな部分に感動してきたかと個人的に振り返れば、初めて見る工夫がされていたり、想像を超える奥行きを感じるときでした。誰かが心を込めて時間をかけて作ったものや、自然が時間をかけて生み出したものには、直感的に価値を感じます。しかし、そういったバックグラウンドが想像できない大量生産品に対しては、なんとなくその魅力を感じにくいことがあります。
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