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「ゲーム業界目指す最低限できていない」──社長のSNS投稿が議論呼んだサイバーコネクトツーが、実は抱えていた育成の課題CEDEC 2023(2/3 ページ)

» 2023年08月25日 18時14分 公開
[吉川大貴ITmedia]

「脱・指導の属人化」などで解決試みる CC2の施策

 現場任せの育成により、複数の問題に見舞われたCC2。同社は対策として、大きく分けて2つの施策を実施した。「脱・指導の属人化」と、「育成に関する各種指標の明確化」だ。

 まず前者については、これまで教育担当者ごとに異なっていた研修内容を統一。課題に取り組んでもらう「課題研修」と、実際にプロジェクトの現場で学んでもらう「OJT」を分けて実施するルールを設けた。

 さらに研修の手順や内容はマニュアル化し、担当者によって指導の内容が異ならないように。当時、コロナ禍で指導や社員同士の勉強会がWeb会議上で行われるようになっていたことにも目を付けた。教育に生かせそうなものを録画し、誰でも視聴できるようにひとまとまりにすることで、共通した教材を利用しやすい環境も整えたという。

 次に後者については、育成に必要なコストや、評価制度をある程度明確化。“なあなあ”になっていた部分を減らし、悪循環の解消を試みた。

 例えば課題研修は3カ月、OJTは9カ月と明確な期間を定め、研修にはっきりとしたゴールを設けた。中ぶらりんになっていたキャリアパスも改善。ジュニアとシニアの間に新しいポジション「インターミディエイト」を新設した。

制度整備前と整備後の比較

 インターミディエイトは「技術やコミュニケーションなどに課題は残るが、頼まれた仕事は完遂できる」ことが基準のポジションだ。ランクアップすれば待遇も変わる。例えばOJT段階にあるジュニアは給与が最低23万1000円だが、インターミディエイトであれば最低27万円に上がるという。

 人月計算のルールも変更。新卒については、入社後1年間は人月計上しないようにした。「新人をあてがって『何で人月管理できてないんだよ』といわれても、現場は『そんなこといわれても……』となるだけ。現場の負担にしかならないので、新卒に限ってルールを変えた」(宮崎副社長)

 以上の施策で現場の負担を和らげ、新人を育てやすい環境を整備したサイバーコネクトツー。さらに、スキルや知識の偏りを防ぐとして他社との交流会も活発化。例えば「妖怪ウォッチ」などを手掛けるレベルファイブといった企業と、仕事の流れなどを相談し合う勉強会を開いたという。

 一部の施策についてはすでに効果を実感しているものもあると宮崎副社長。例えば人月計算のルール変更については「効果が出ており、現場の納得度も高い」という。

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